アイマス・菊地真&萩原雪歩「はんげつであえたら 」レポート 「アイ」があふれる3つのライブの解釈が定番曲の聴き方も変える 

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萩原 雪歩さん(左)と菊地 真さん(右)

2024年3月16、17日に、「菊地 真 ・ 萩原 雪歩 twin live “ はんげつであえたら”」というライブが開催されました。

菊地 真さんと萩原 雪歩さんは、ゲームなどで展開されている「アイドルマスター」という作品に登場する、芸能事務所「765プロダクション」所属のアイドルです。近年ではアイドルの声を当てている声優さんのライブだけではなく、3D CGで表現されるアイドルによるライブも多く開催されています。


どのようなライブか

会場は群馬県前橋市にあるベイシア文化ホール(群馬県民会館、以下現地)でのライブと、ライブ配信プラットフォームであるASOBI STAGEでのxRライブストリーミング(以下、xRライブ)との同時開催です。

現地では、ステージ上に透過スクリーンが配置され、そこに演者である彼女たちが映しだされる形で出演します。なお、スクリーンの裏にも照明が配置さており、舞台奥から彼女たちを照らすライトはスクリーンを透過して客席にもあたるようになっています。

一方でxRライブでは、現地会場のステージをそのまま流すことはほとんどなく、CGで作られたライブ会場(今回は厳かな神殿のような場所)に出演者でパフォーマンスする様子が配信されました。 xRライブは現地舞台とは異なる照明や現実にはできないエフェクトでステージを盛り上げています。また、配信で表示されるカメラワークも凝ったものにすることも可能です。

なお、本公演のxRライブは4月14日までアーカイブ配信が予定されています。また、各公演とも冒頭10分の様子が無料配信されています。

765プロダクションのアイドルたちのライブは、事務所全体で行われることはあったのですが、今回のライブタイトルにある“ twin live “、つまり2人だけでライブをやるのは初めてでした。

また、ライブは3回に分けて行われ、16日は[~友藍~]、17日昼は[~悲藍~]、17日夜は[~純藍~]とサブタイトルが異なっておりました。事前に各回で演出・披露楽曲等が一部異なるという案内はあったものの、初めての2人だけのライブということもあわせ、来場者には当日なるまでどのようなライブになるのか分からない状態でした。

ここからは、菊地真さんと萩原雪歩さんの「ファン」として、[~友藍~][~悲藍~][~純藍~]、それぞれのライブをレポートします。なお、内容は現地観覧をしたのち、アーカイブでxRライブを見たものによります。

*本レポートに含まれる解釈は、筆者の独断と偏見によるものになります。


[~友藍~]

開演のブザーが鳴り響いた後、モニターに表示されたのは、絵本の形で描かれた、2人の王の物語。その物語は菊地さんと萩原さんの2人による朗読で読み進められます。内容は以下のようなものです。

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あるはんげつの日の夜に出逢った、光の国の王と影の国の王。しかし光と影ゆえ、お互いに触れてしまうと消えてしまう。

次のはんげつの夜からは、お互いに触れないようにして語らい交流を深めていく。

そんなある夜、光の王は遠い国に嫁ぐことが決まったと別離を告げる。

「本当はあなたのそばにずっといたい」と光の王が言うようにお互いずっと一緒にいたい気持ちはありつつも、再会を信じて、最後の夜に歌い合う。

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Overtureが流れた後、ステージに現れたのは菊地さんと萩原さん。着用している衣装はこのライブのために作られたもので、彼女たちのテーマカラーを同じく菊地さんは黒、萩原さんは白のドレス。レースの部分は2人で左右反対になっていて、菊地さんはダンスによっては隠れている左足の膝上から下が見えるといった大人びたイメージに、萩原さんは常に隠れる清楚なイメージになっています。

なお、先述のようにライブの冒頭10分の様子は無料配信されていますので、興味を持った方は動画もあわせて見てみてください。

そして本公演の1曲目が始まりました。

M1 キミはメロディ

1曲目は、素敵なキミへの想いがいっぱいにあふれる、爽やかな曲調のテクノポップである「キミはメロディ」。ライブの最初ですので、2人の仲良さが際立つ揃っての明るいナンバーから始まりました。

M2 自転車

暗転後、萩原さんが舞台袖にはけ、再び照明が付くと菊地さんの代表曲「自転車」のイントロが流れます。好きだよと言いたいのに言えない、そんなドキドキともやもやを載せて自転車を勢いよく漕いでいく青春ポップスを歌うのは、もちろん菊地さん。左右に軽やかにステップを効かせて踊るのですが、黒のレースのドレスのスリットから覗く足がまぶしく、そんなに軽やかに踊って大丈夫か菊地 真。

「好きだよ!」という歌詞にあわせてファンもコールをあわせて、会場中のボルテージもあがったところで舞台に登場したのは萩原さん。菊地さんのソロ曲なはずなのに萩原さんが2番から歌い出し、客席から驚きの声が聞こえました。

菊地さんのカラリとした爽やかさとはまた違った、萩原さんの涼やかで爽やかな声。そして手の先腕の先まで使い大きく全身を使ってダイナミックに動く菊地さんとは対照的に、小ぶりだけど時にかわいく時にやさしい動きの萩原さん。表現のタイプの違う2人が並んでパフォーマンスを見ていると、まるで2人で自転車を走らせデートをしている、そんな絵が浮かんできます。

M3 何度も言えるよ

続いては萩原さんのソロ曲である「何度も言えるよ」。テーマとしては先ほどの「自転車」と同じように告白に向かって頑張る様子を歌った楽曲ですが、萩原さんのはかなく、でもその中からそこから何とか先に進もうとする意思が垣間見える声を聞くと、ついつい応援したくなってしまいます。

このあとのMCコーナーは、萩原さんから来場・視聴者への挨拶から始まり、続いて舞台袖の菊地さんを呼ぶために「真ちゃーん」とコールしてほしいというお願いがありました。その際、菊地さんは1度目のコールでは現れず、2度目でようやく舞台上に姿を見せます。実はコールの練習を兼ねて2回目に出てくるという流れだったのですが、段取りを忘れて不安がる萩原さんとそれを諫める菊地さんのやり取りは見ていて微笑ましかったです。

それにしても、筆者は長年ファンをしていますが、普段は「真」や「真くん」と呼ぶので、「真ちゃん」と呼ぶのは初めての経験で、ドキドキしてしまいました……。

続いて菊地さんから、今回の「はんげつであえたら」の公演は絵本の物語をイメージしたセットリストであるため、曲や歌詞にも注目してくださいと案内がありました。[~友藍~]と題した第1回目の公演ではどんな物語が描かれるのでしょうか。

M4 アマテラス

大好きという思いを歌に乗せて届けあうディスコポップナンバーの「アマテラス」。「大好きだよ」という歌詞に合わせてコールするパートがあるため、ファンが演者に合法的に「大好きだよ」と伝えることができるという人気の楽曲ですが、今回のライブにおいても、現地でも配信コメントでもばっちり声があがり、観客のテンションは大いに盛り上がるのでした。

M5 待ち受けプリンス

「俺についてこいよ」「あたしの目を見て」という語りかけるような歌詞に客席が沸く、激しくも陰があるダンサブルなナンバー。間奏中の菊地さんのキザなイケメンセリフや萩原さんの様々な感情が混じった「嘘つき」という決め言葉に、ファンは酔いしれました。だまされてもいいや……。

配信されたxRライブでは、「CHU-WA」と繰り返されるフレーズに合わせて様々なハートマークのエフェクトが背景に登場。神殿のような厳かな空間なはずなのに、楽曲に合わせた様々なエフェクトで会場の空気を自由自在に変えていくのも、CGによるxRライブのいいところです。

M6 チェリー

桜咲く季節を歌った青春ソング。前奏の前、学校の始業チャイムが鳴ったところ会場からどよめきが起こり、歴戦のファンが周りの人に席に座るよう小声で促し、そして皆が客席に座り直します。それは、曲頭にある「起立!」「気を付け!」という演者の声に合わせて立ち上げるということをしたいから。

なお、「チェリー」という曲は披露される機会がなかなか無いレア曲なのですが、それ故に筆者の周りでは感極まって立てなくなり、再度着席してしまうファンの姿も見られました。それ程のレア曲なのに「起立」「気を付け!」の流れがうまくいくなんて、ファンの団結力はすごい!

M11 First Stage

内気な女の子の心を歌った、ハイテンポなポップス。憧れる人にいつかは振り向いてほしいと願い、少しずつ変わろうとする様子を歌うこの曲に、萩原さんの、はかなくも意思が垣間見える歌声はぴったりです。と同時に、いつもは低音でかっこよく歌う菊地さんが、この曲では高音でものすごくかわいい声を出していたのが印象的でした。正直、萩原さんの声と間違うくらいでした。

M8 edeN

続いて披露されたのは、切ない感情が駆け巡る、最高にグルーヴィーなハードチューンの「edeN」。「First Stage」とは曲調もテーマも一転し、後戻りできない2人の熱い愛情を、菊地さんと萩原さんが激しく歌い上げます。

M9 エージェント夜を往く

恋と欲望をもてあそぶ詐欺師を歌う、菊地さんの低音ボイスとダンスがぴったりな官能的でミステリアスな楽曲。激しいダンスの中、黒のレースのドレスのスリットから時々足をのぞかせる様子が、この楽曲の世界観をより蠱惑的なものに魅せてくれます。

と同時に、「溶かしつくして」という歌詞にあわせての、会場と配信コメントでの定番のコールの一致もまた、盛り上がりに一役買っているのでした。

M10 9:02pm

夜、ひとりきりになった時に逢えない君を想う、切ない感情が漂うスローバラード。ここまでの曲はダンサブルな曲も含めハンドマイクで披露されていましたが、この楽曲はスタンドマイクを使い、大人の恋心をジャジーに歌い上げます。

M11 First Step

あなたと出会ったから、自分で一歩ずつ進む強さがもらえたと感謝を歌う、萩原さんにとって大切な一曲。あなたとの出会いを静かな歌声で振り返る……という1番では、舞台もほのかに青白く光るだけでしたが、二番では舞台に光が指し始め、「がんばれ」と勇気と決意をこめて歌う萩原さんのパフォーマンスを演出的にも盛り上げています。そしてCパートを歌い上げたところで光の雨が降り注ぎ、ひとりの女性が勇気もらって進む様子が舞台全体で伝わってきました。MCパートで菊地さんも「すっごく心に沁みたよ」というのも納得です。

M12 My Best Friend

乙女の恋心を歌ったドキドキ&ハッピーなラブソング。友達以上恋人未満の相手との、若者のあたたかくもくすぐったい季節を2人が明るく歌っています。にしても、下記画像のように、2人がお互いの顔を見て、2人ともニッコリするの、ズルくないですかこれ!!

M13 The world is all one !!

軽快なビートに乗って、純真な気持ちを歌う正統派ポップソング。仲間と手を取り世界は一つだと伝える楽曲で、「1、2、3」「3、2、3」とコールができるのは、演者と観客も一緒の仲間になれたような感じで、明るい曲なのにこみ上げてくるものがありました。

M14 Halftone

ライブの終盤のところで投入されたのは、今回のライブのために作られた新曲、「Halftone」です。英語詞から始まるロックテイストの楽曲は、2人にとっては珍しいタイプのものですが、初披露にも関わらず会場の「オイ!オイ!」という声もぴったり揃い、大盛り上がり。

この楽曲では、「はんげつ」を色が異なるがお互い惹かれあい、同じ方向に進むものと例え、共に先に進もうと歌っています。それは、黒と白というテーマカラーだけでなく、性格も歌声もダンスパフォーマンスも異なる菊地さんと萩原さんの事を指しているのかもしれません。そして、今回のライブで披露された楽曲群をつなぐと見えてくる、絵本の物語にも通じているように聞こえます。


M15 おもいでのはじまり

[~友藍~]本編最後の楽曲は、共に過ごした時間が「思い出」になったとしても、僕等はいつだって友達だと信じ伝える、青春を歌った「おもいでのはじまり」でした。オレンジ色が似合うこの曲を、17歳になる2人が歌い上げてくれました。

観客からのアンコールの後に語られたのは、オープニングで流れた絵本の物語の続き。

2人の王は別れ、そして会うことは叶わなくなったけど、遠く離れた今でも、はんげつの日にはお互いの幸せを祈る、というものでした。

M16 my song

[~友藍~]編のアンコール楽曲は、やさしさの中に力強さを秘めたあるミドルバラード、「my song」でした。辛くても大切な夢に進む私が、大切なあなたへ愛と感謝を贈る「私」の歌。それは、やさしい歌声だけでなく、「エールくれる人よ」という歌詞のところで、菊地さんが「あなたたちからもいつもエールをもらってますよ」と言わんばかりに何度も客席を指さした、そういった小さなしぐさからも感じました。

こうして[~友藍~]のセットリストを振り返ってみると、あくまで筆者の解釈に過ぎないのですが、出会い、惹かれ、そして別れが来たとしても、友との信頼と愛情、感謝は永遠だというテーマが見えてくるでしょうか。


[~悲藍~]

3月17日の昼公演に付けられたタイトルは[~悲藍~]。前日の[~友藍~]とは異なる展開が予想されますが、どうだったのでしょうか。ここからは是非アーカイブ映像を見ていただきたいので、ライブ内容の紹介は少な目にしてレポートを続けます。

開演のブザーが鳴り響いた後モニターに表示されたのは、昨日と同じように、触れたくても触れられない2人の王の物語。

しかし、光の王の「本当はあなたのそばにずっといたい」という言葉の後、BGMが止まった中で発せられたのは、「助けてほしい」という悲痛な叫び声……。

M1 relations

Overtureの後に流れたのは、自分のものにならなくても相手のそばにいるだけでいいと、大人びた女性の恋愛を歌ったハードナンバー、「relations」。昨日の[~友藍~]には無かったい緊張感のある楽曲に、1曲目から今回の展開から目が離せなくなりました。

M2 inferno

続いて披露されたのは、全てを燃やすような強いを歌う「inferno」。

[~友藍~]で披露された楽曲では菊地さんに比べて大人しめな動きの印象のあった萩原さんでしたが、「inferno」では前のめりで、そして情念がこもった声でパフォーマンスする姿も見られました。[~友藍~]の時に見せた清楚・かわいい・はかなげとは違う、諦めない・激情といった一面も持っていることを改めて実感しました。

M3 迷走Mind

3曲目の「迷走Mind」は菊地さんのソロ曲。楽曲としては疾走感あふれるハイスピードナンバーであるこの曲も、今回のシチュエーションにおいては助けを求める光の王に対する影の王の迷い、そして焦燥感を見事に表現しています。

MCパートでは、菊地さんが観客と一緒に「ゆきほー」とコールをして萩原さんを呼び込む流れのあと、[~悲藍~]でも曲や歌詞の意味にも注目してくださいと案内がありました。

M4 Halftone

M5 待ち受けプリンス

M6 アマテラス

M7 The world is all one !!

M8 First Stage

M9 おもいでのはじまり

M10 9:02pm

ここからは[~友藍~]でも披露した楽曲が続きます。しかし、先ほどの絵本の物語と前の3曲があったせいか、何か裏があるように感じられてしまいます。

[~友藍~]でライブの終盤で登場した、本ライブ向け書き下ろし新曲の「Halftone」は、いきなり序盤で披露されます。共に進もうと誓いが、もうここで来ています。お互いを誘う「待ち受けプリンス」もこの位置で登場です。

そう、アップテンポのこれらの楽曲は、別離に向かう2人の、まだ幸せだったころの回想シーンなのではないか、筆者にはそう思えてきました。

そうなると、お祭りにはしゃぐ様子を歌う「アマテラス」もこの後別れが来ると思ってしまうと気が気じゃなく、「大好きだよー」とコールしてもテンションがあがりません。

青春時代を振り返る「おもいでのはじまり」は、「おわりのはじまり」に思えてきますし、「9:02pm」は、逢えない誰かを想う歌ではなく、舞台上で並ぶ2人がお互いを想う歌に見えてきます。

M11 静かな夜に願いを…

M12 edeN

M13 LOST

ついに2人に別れの時がきてしまったのでしょうか。大切な人との別離、そして未練を2人はそれぞれの形で表現していきます。

雪が降る中で歌われた静かで切ないバラード「静かな夜に願いを…」、光に包まれての「LOST」は萩原さんのソロによる披露。彼女の優しく、そして時には芯のある歌声で、2人の過去を振り返り、再会を祈ります。

「静かな夜に願いを…」 
「LOST」

M14 tear

一方で菊地さんは「tear」により、時に物憂げな表情で、時に強い声で運命の人と再び逢うことを願います。

M15 Little Match Girl

[~悲藍~]本編最後の曲は「Little Match Girl」。狂おしいほど相手を求める様子を「マッチ売りの少女」と「火遊び」をかけて表現した、ハイセンスなポップチューンです。

ステージが燃え上がるように赤くなる中、「枯れてく鼓動」「ラストシーン」「暗く沈んだ月をずっと眺めて」という歌詞が不穏さを強調して……。

M16 キミはメロディ

観客からのアンコールの後に上映された絵本の朗読が終わり、今回の2人の感想を述べたMCパートに続いて披露されたアンコール楽曲は、前日の[~友藍~] の最初に歌われた「キミはメロディ」。絵本の内容も含めて詳細は実際に見ていただきたいのですが、爽やかなポップナンバーであるはずこの歌が、むしろ爽やかだからこそ、ある種のもの悲しさを表現することになるとは……。何度も聞いたことのある楽曲にも関わらず、これは初めての経験でした。


[~純藍~]

3月17日の夜公演のタイトルは[~純藍~]です。前2回よりも様々な解釈ができそうな内容でしたので、そちらに関しては多くは語らず、[~純藍~]で初披露となった楽曲についてレポートします。

開演のブザーが鳴り響いた後モニターに表示されたのは、前2回と同じように、触れたくても触れられない2人の王の物語。

今回、別れの言葉を口にしたのは光の王ではなく、三又の槍を持った影の王でした。「遠い国に戦いに行く」と告げた影の王は、最後のはんげつの夜に「必ず迎えに行くから、信じて待っていて欲しい」と光の王に約束します。

さて、[~友藍~]、[~悲藍~]を受けての最終公演[~純藍~]は、以下のようなセットリストでした。

M1 First Stage

M2 アマテラス

M3 キミはメロディ

M4 ALRIGHT*

舞台中央に一筋さすスポットライトの中、勇気を振り絞った「いえーい」というシャウトから始まるナンバー。前のめりで最初のエンジンさえかかれば大丈夫。会場からの「ゆきほー」のコールももらい、時にはウインクをする余裕を持ちながら、楽しそうにステージ上を回ってました。

M5 待ち受けプリンス

M6 キミ*チャンネル

大胆なパフォーマンスを得意とする菊地さんの新境地が見られたのが、心が躍る胸キュンソングである「キミ*チャンネル」。

ありったけの甘く、時に切ない歌声だけでなく、持前の身体能力を活かした内股で飛び跳ねるダンス、これでもかというくらい多用するウインクなど、菊地さんのドキドキふわふわなかわいさと、そんなかわいさを表現できる嬉しさが伝わってきます。

M7 i

自分に対しても他人に対しても、を持ち思いやることで、前向きな気持ちになれるポップなセルフプロデュースナンバー。xRライブではステージの外だけでなく中までもがシャボン玉が周り、楽曲の持つ多幸感をより盛り上げてくれます。

個人的には「優しさだけじゃ生き残れない」から始まるCメロから大サビに向かうところの、心細さから少しずつ光が灯されていくような曲調が好きなのですが、萩原さんの声の優しはもちろん、菊地さんの少し大人びた暖かい声がぴったりあっています。

M8 9:02pm

M9 The world is all one !!

M10 おもいでのはじまり

M11 チアリングレター

「チアリングレター」はかっこいい大人を夢見る自分と、昔を懐かしむ大人の自分とがお互いに、自分を信じてまっすぐ歩き進めればいいよと応援しあうバラード。

「i」でもそうでしたが、菊地さんの優しさをみせた時の声は、この歌の歌詞にもある「かっこいいレディ」という言葉がぴったりなんですよ。彼女の将来が楽しみです。

M12 edeN

M13 Halftone

このあたりのセットリストですが、「9:02pm」であなたに逢いたいと切ない気持ちを歌うも、その後にポジティブなメッセージの曲を並べることで、[~悲藍~]で醸し出していた破滅へ続く不穏な空気でなく、お互いを信じて待ち続ければ大丈夫とという強い決意が伝わってきます。

そして、この公演のための新曲「Halftone」の「君といれば怖くない、共に先に進もう」というテーマが輝きだします。

M14 Kosmos,Cosmos

「Kosmos,Cosmos」は近未来的イメージのスペーシーでダンサブルなナンバー。キミとボクが一緒に跳び出していくのは、冷たく無限に広がる宇宙。萩原さんの透明でやさしい歌声が、ふたりだけの宇宙の旅の心細さと決意を表現するというのがこの楽曲の特徴なのですが、本公演では途中から菊地さんが参加。ふたりぼっちでさみしい宇宙の旅を、キミを信じてると確かな声で支えていました。その後のMCでも、2人で歌えて嬉しかったと2人ともが口にしていました。

M15 VOY@GER

[~純藍~]の本編最後の曲は「VOY@GER」。彼女たちアイドルの可能性の広がりを惑星探査機に例えた一曲で、間奏のダンスとラップパートもばっちり決まっていました。

歌詞の中で「君のアイが私を照らしてくれるなら」「アイは時間も時空も超える光になる」と「アイ」がキーワードになっていて、それは「アイドル」や「愛」といったものを指しているのですが、この公演においては「藍」、つまり光の王と影の王、あるいは萩原さんと菊地さんの出「逢い」も重ねて見ることができるのではないか、と考えたくなってしまいます。

「Kosmos,Cosmos」と「VOY@GER」で宇宙を進むことすらも恐れない絆を歌い上げた2人。この様子ならば、絵本で語られるお話の最後は心配しなくてもよさそうですね。

アンコールの後のMCパートでは、2人きりのライブという話を聞いたときは不安もあったが、相手が菊地さん、あるいは萩原さんであることですぐに大丈夫だと思えたと、[~純藍~]の物語のような2人の絆を強調。そして、観覧・視聴をしてくれたファンへの感謝を告げました。

M16 まっすぐ

アンコール、そして本公演最後の曲は、ストレート&ピュアなイメージで、誰もの心が温まるナンバーである「まっすぐ」。765プロダクションを古くから応援するファンの中では、エンディングといえばこれだという認識を持つ人も多い曲でもあります。歌詞にあるように輝いた未来を願いながら、初めてのtwin liveは幕を閉じました。

解釈をいざなうライブ構成

今回の「はんげつであえたら」ですが、765プロダクションのアイドルにとって2人だけのライブは初めてで、果たしてどんな曲が披露されるのか、2人だけのライブだと展開は単調になってしまうのではないかと、楽しみと心配が入り混じった状態でライブの企画発表から開演まで待ち続けていました。

[~純藍~]の「Halftone」より

しかし、ふたを開けてみると、ライブ冒頭の絵本の物語とセットリストの妙により、最後まで展開にワクワクしながらライブを楽しむことができました。[~友藍~][~悲藍~][~純藍~]それぞれの公演のテーマがなんとなくでも見えてくると、その流れで披露された楽曲も、今まで聞いてきたものとは違う新しい見え方、解釈をしたくなってしまったのもよい経験でした。

そしてさらに解釈を磨き上げるために、歌詞を読み込み、歌声の変化を聞き込み、ダンスや表情が持つ意味合いを観察して、それを仲間と共有しあう……と、何度もライブの振り返りをしたくなります。そう、今回のxRライブのアーカイブ動画の配信期間は4週間(4月14日まで)です。助かります。また、xRライブのスクリーンショットをXで共有しあう「#はんげつプロデュースショット」というキャンペーンも行われています。

もうひとつ、今回のライブは最新曲を追いかける、つまり新曲をノルマのように組み込むのではなく、これまで2人が歌ってきた定番曲が多く並ぶセットリストになっていました。このことにより、新規のファンにはライブで聞けない楽曲に触れる機会になっていたかと思われます。

一方で、彼女たちのデビュー当初からのファンにとって聞きなじみのある曲が多く並ぶセットリストとも言え、懐かしさを感じるところもありました。それと同時に、先述の解釈を生み出すライブ構成により、新たな感覚で楽曲を楽しむこともできました。現地会場では、楽曲が流れるたびに、あーという歓声とともに客席でうずくまるファン、泣き出すファンも多く見られました。


現地会場とxRライブストリーミングの同時開催のよさ

冒頭に書いた通り、今回の「はんげつであえたら」は、ベイシア文化ホールでの現地会場と、ASOBI STAGEでのxRライブストリーミングを同時に行うという形で開催されました。

xR配信では、やはりCGで作られた神殿のような舞台と各種特殊効果が挙げられるでしょう。

これらを引きの絵で映しつつ、菊地さんと萩原さん2人の表情もアップで捉えるなど、カメラワークも決まっており、映像としての美しさを売りにしています。

さらに、現地会場の歓声も中継で流すことで、ライブ感も担保しています。

[~純藍~]の「The world is all one !!」より

現地会場では、画面いっぱいの特殊効果というのは見ることはできないものの、舞台上の演者を彩る照明やレーザー光を浴びることができます(現実の照明とCGで描かれた照明および演者へのライティングは同期しているかと思われます)。

今回のライブでは舞台奥から客席方向への照明やレーザーが意識的に多用されていたように感じられましたが、このことは演者の輪郭をくっきりとさせると同時に、舞台上の演者と同じ空間にいることを実感することができました。

さらに、このようなライトは逆光になるので演者の顔に影を与えつつ、衣装のレースの透け具合や脚の陰影を強調することになり、特に客席の後方からステージ上の彼女らを見ていたときは「え? 生身の人がいるの!?」と思ったことが度々ありました。


舞台の外でも彼女らの実在を高める企画

今回のライブ開催に合わせて、「アイドルマスター×前橋市・赤城山コラボ」という企画もたちあがっていました。

「道の駅まえばし赤城サイクルステーション」ではスポーツ全般が趣味で「自転車」という持ち歌もある菊地さんの展示が、「前橋文学館」ではポエムが趣味の萩原さんの展示がありました。

道の駅まえばし赤城の菊地さんのパネル。ライブ会場から5kmほど離れた場所だが、バスやレンタサイクルや車を使って来場している人も多くみられた
前橋市生まれの詩人、萩原 朔太郎氏の展示がおこなわれている前橋文学館では、「萩原」つながりもあって萩原 雪歩さんのポエムも展示。いや、萩原 朔太郎氏と同じ展示フォーマットなのだけど、雪歩さん大丈夫ですか……!

前橋駅の電光掲示板ではウエルカムメッセージが表示され、観光案内所ではコラボマップを配布。

マップを見ながら前橋駅近くの繁華街を散策すれば、街中にはさまざまな店でポスターが掲示されていました。

お茶屋や和菓子屋ではお茶が趣味な萩原さんに関する掲示も見られました。

このようなコラボは、2018年の「アイドルマスター シンデレラガールズ」の声優さんが出演するライブが前橋で開催されたときにも行われています。これが現在のアイドルマスターシリーズのライブ開催地での観光施策の見本になったとも言えるのですが、今回のようなキャラクターのライブでも同じように駅を降りたときから歓迎してもらえると、ライブが始まる前から菊地さんや萩原さんの実在感というのを強く感じさせてもらえました。

前橋市公認マスコットのころとんも会場に参戦。ライブのエンドクレジットのSpecia Thanksのところに「前橋市役所観光政策課」や「前橋観光コンベンション協会」、そしてころとんの名前が挙がったときは、自然と客席から拍手が沸きあがりました


また今回のライブでは、来場者特典として「菊地真・萩原雪歩によるお見送り会」というのが開催されていました。

ライブ終了後、会場ホールでパフォーマンスを披露した直後の菊地さん、萩原さんが退場するファンを見送ってくれるのですが、こちらが取ったポーズをマネしてくれたり、目が逢ったりすると……それだけで「本当に菊地真と萩原雪歩がいたんだもん」と嬉しくなっちゃいます。ライブグッズなどを持っていると声をかけて反応してくれたようでした。

お見送り会に関する、バンダイナムコ研究所の協力報告

なお、アイドルマスターシリーズでは、xRなどの技術の活用と、現実の自治体や企業などとの協働の両方を通じて、アイドルの実在感を高める「“MR”-MORE RE@LITY(モア リアリティ)-プロジェクト」を推進しています。

アイドルマスター、ゲーム領域に閉じないアイドルの活動を拡大する「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」始動 XR技術も活用

今回のライブも様々な施策を通じて菊地 真と萩原 雪歩の実在感を高めており、取り組みとして成功したと言ってもよいのではないでしょうか。

ライブ会場を出ると空には半月が。はんげつの夜になると、ファンも彼女たちを思い出すようになるのでしょう。

(TEXT by tabata hideki

©窪岡俊之 THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

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