HTCが現実とCG世界を融合させる「VIVE XR Elite」と「VIVE Mars」を現地で体験!【CES2023】

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現在ラスベガスで開催中のCES2023ではHTCが新型の一体型HMD「VIVE XR Elite」を発表した。この記事では実際の体験レポートをお伝えしたい。また、後半ではバーチャルプロダクション向けのソリューション「VIVE Mars」のデモについてもご紹介する。


Quest Proの対抗機となるか、ハイエンド一体型HMD「VIVE XR Elite」

「VIVE XR Elite」を装着した様子。
前面のRGBカメラ越しに自分の手が見える

「VIVE XR Elite」のスペックは既報の通りだが、以下の表では主要なスペックをMeta Quest Proと比較している。

機能VIVE XR EliteMeta Quest Pro
プロセッサーSnapdragon XR2Snapdragon XR2+
ストレージ’ / メモリ128 GB / 12 GB256 GB / 12 GB
解像度片目1920 x 1920ピクセル片目1800 x 1920ピクセル
IPD調節機能あり(手動)あり(自動)
アイトラッキングなしあり
フェイストラッキングなしあり
ハンドトラッキングありあり
本体トラッキングインサイドアウト6DoF
(トラッキング用カメラ4個)
インサイドアウト6DoF
(トラッキング用センサー10個)
Mixed Reality (MR) 機能16 MP RGBカメラと深度センサー複数のセンサーによる立体的なMRパススルー
バッテリー駆動時間約2時間約2時間
公式サイトでの販売価格179,000円(税込)226,800円

製品名に「XR」(VR/AR/MRの総称)とある通り、周囲の現実映像にCGを組み合わせる「Mixed Reality」(MR)機能が注目されるが、残念ながらCES2023の体験デモでは深度センサーを使ったコンテンツやハンドトラッキングは提供されていなかった。

VRと現実の床の高さが合っているかを確認する筆者

コンテンツの互換性だが、VIVE Focus 3で動いているアプリはほぼそのままVIVE XR Eliteで動作するとKeynoteでは言及されていた。筆者は「Open Brush」などのVRアプリを体験できたが、解像度やフレームレート共に、Quest Proでの体感と遜色無かった。

後部バッテリーを装着モード(手前)、USB-Cでの給電モード(奥)

「VIVE XR Elite」では後部バッテリーがスワップ交換できるようになっているが、現地の広報担当によるとバッテリーの別売は「本体の発売日には間に合わないが、計画はある」とのことだった。また布製のフェイスガスケットも交換品販売の予定があり、ウェットティッシュで拭いやすい素材の別バージョンの販売はサードパーティから検討されているという。

バーチャルプロダクションをサポートする「VIVE Mars」

またCES2023では、現地のコンテンツプロダクションスタジオ「」に設置された巨大なLEDスクリーンで、HTCのバーチャルプロダクション向けの総合ソリューション「VIVE Mars」を使用したデモが披露されていた。

解像度 16,200 x 2,400 のLEDウォール

「VIVE Mars」とは、撮影用のビデオカメラにVIVE Trackerを装着してリアルタイムで位置情報を取得し、その情報をUnreal Engineなどで取得&活用することができるソリューションだ。LEDウォールとカメラの位置合わせに時間がかかっていたバーチャルプロダクションの現場に重宝されていると言う。

VIVE Marsの体験ブース。巨大スクリーンの前に演者が立って撮影を行う
スクリーンの横には2台のBaseStation 2.0
カメラをVIVE Trackerでトラッキング
右のモニターにはリアルタイムで撮影内容が表示される

LEDウォールによるバーチャルプロダクションは日本でも導入が進みつつある。「VIVE XR Elite」や「VIVE Mars」が現実とCG空間の融合を日本でも推し進めることを期待したい。


(TEXT by にしかわ

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