【週刊VRChat】VR展示即売会を次のステップへ 「パラレルマーケット」主催あおみ氏に聞く新たな挑戦【新連載】

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VRデバイスの低価格化に加え、社会情勢による巣ごもり需要の拡大などにより、盛り上がりを見せているソーシャルVR/メタバース。「VRChat」は、複数存在するソーシャルVRサービスの中でも特にユーザー人口が多い、代表的な存在です。本連載では、VRChatの最新トレンドを、日々10時間以上同サービスに浸かっており、NPO法人公認VR文化アンバサダーとしても活動しているアシュトンが伝えていきます。

今、VRChatでは展示即売会系イベントがアツイ!

HIKKY主催の「バーチャルマーケット6」が、地上波テレビをはじめ数多くのメディアで大きく取り上げられ、注目を集めた8月中旬。そのほかにも、8月頭に開催し魔法や悪魔をテーマにアバター・アクセサリーなどを展示した「マジカルサバト」や、10月に第4回目を迎えるアバター展示会「アバターミュージアム」、今年2月に第2回を開催したQuestユーザー向けの「クロスマーケット」や、9月11日から開催の「ワンコインマーケット」などVRChat上の展示イベントは個人・企業を問わず枚挙にいとまがない。

最近では、ソーシャルVRへの注目度の高まりに合わせ、こうした展示イベントも入場者数がより見込めるようになり、VR業界外の企業をも巻き込んだ大規模な動きがよりいっそう加速している。

そんな中、現在注目を集めているイベントが、9月12日まで開催中のオールジャンル展示イベント「パラレルマーケット」(以下、パラケット)だ。

パラケットは、個人主催のオールジャンル展示即売会イベント。中世の街並みを舞台に127のクリエイターが参加、9社が協賛し、35組がアンバサダーに就任、20が協力コミュニティーに名をあげ、7のイベントが協力する大規模なイベントだ。

今回、筆者はその魅力に迫るため、主催のあおみさんに案内していただきインタビューを行いながら会場を取材した。VRコミュニティーをさらに盛り上げるため、VR展示即売会イベントを次のステップへつなげるため。開催に向けたその熱い想いを伝えていきたい。

「展示即売会慣れ」してるからこそ次のチャレンジへ

パラケットは、主催のあおみさんをはじめ、他展示イベントのスタッフ経験者が多く在籍する。Questユーザー向けにこれまで2回開催してきた「クロスマーケット」のスタッフ陣と重なるところもあり、スタッフみんなが「展示即売会慣れ」してるベテランばかりだという。

今回の運営スタッフ陣。総勢13名が並ぶ
StarryResonanceオーディション

そこで、パラケットでは個人主催だからこそできるチャレンジ・冒険など、「普通の展示即売会」を超えた次のステップのための挑戦を多く盛り込むことにした。展示即売会というコミュニティー内外から注目を集めるイベントで、コミュニティーをさらに盛り上げるためにはどうしたらいいか。そうした中で生まれた開催テーマが「みんな、なかよく。」だ。

イベント期間中自由に使っていいというメインステージ。参加者も一緒にイベントを作り上げていくことができる

具体的には、今回、総勢35組のアンバサダーと、20の協力コミュニティー、競合ともいえる7つの他展示イベントとの相互協力など、多くの協力者とともにイベントを作り上げている。

協賛企業のポスター
会場のさまざまな場所に協力コミュニティーやアンバサダーのPRが配置されている

あおみさんは、「出展者・来場者・運営の三者の関係は終わり。もう少しいけるなと。私も運営スタッフも経験豊富な方が多いので、我々が先陣切ってやるしかないだろうとなりました」「有志運営なので、動きが速いですし。企業と違って、『おもしろいね。できるかな。やろう』でできてしまうんです。せっかくやるなら、パラケットに集まってくれたみなさんのパワーを前面に出して、みんなこんなに面白いことやってる人たちがいるんだよ!と伝えていきたい」と個人主催ならではのフットワークの軽さで本企画が実現したことを語った。

ソーシャルVRに経済圏を生む「前例」を作りだす

そうした中、話を聞く中で何度も出てきた言葉が「前例」。これまで、個人では難しかったこと、展示イベントではやってこなかったことに積極的にチャレンジしていくことで、新たな「前例」を生み出し、後続が生まれやすい土壌を作る。その先陣を切っていこうという意気込みを強く感じた。

8月5日に行われたVRプロアクターチーム「カソウ舞踏団」と慣性式フルボディートラッカー「HaritoraX」を展開するShiftallとのコラボパフォーマンスや、翌6日に行われたKuさんの「おとあそびえんと」とキーボードブランド「HKKB」とのコラボパフォーマンスなどのステージイベントもそうした「前例」作りの一環だ。

「VR企業ではない企業さんからVRパフォーマーに依頼を投げられる空気を作りたい」と話し、展示即売会イベントを通してスポンサー企業とパフォーマーをつなげることで、そこにお金の流れを生み出すことを意識していることを明かす。

企業協賛に力を入れているのも、コミュニティーと企業を繋ぐ場にしたいという想いからとのこと

また、注目を集めた試みの一つに運営費用のクラウドファンディングがある。開催終了後の9月15日まで支援を受け付けている同クラウドファンディングでは、執筆時点ですでに目標金額の40万円を大きく上回る90万円以上、140人近くからの支援が集まっている。

クラウドファンディングの返礼品の中には、出展クリエイターのアバターをイラスト化したTシャツや缶バッジなどのグッズ商品も含まれている。現在、アバターはBOOTHなどで多くが有償販売されており、VRコミュニティーの中でも活発に経済が回っている数少ない分野のうちの一つだ。さらにここで、「アバターのグッズ化もやるべきだろう」と返礼品を考えたという。アバター制作者は個人のためグッズ化はハードルが高いと思われがちだ。しかし、ここでも前例を作っていくことでその流れを変えていきたいとのことだ。

VRコミュニティーをさらに盛り上げるために

こうしたさまざまな取り組みの中、より直接的に他展示イベントへ提供していこうというシステムがWebカタログだ。今回のパラケット開催に向け、出展者一覧が見れるサイト「AREAL.gg」というWebカタログシステムを別チームで並行して制作している。

出展者がシステムに登録し、カタログが作れるというもので、ライセンスやBOOTHリンク、商品画像をBOOTHから自動読み込みするなど、VRコミュニティーに特化したシステムになっている。

イベントページから、展示イベントのマップを表示し、購入サイトがわかるのみならず、会場のどこにあるのかもわかりやすく提示できる。今後は、他イベントにも提供していき、連携をとることで、サイト上で過去・現在・未来のVR展示イベントの情報をまとめて得られる枠組みも考えているという。実装されれば、VR展示即売会イベントがより身近なものになるだろう。

「次のステップに最初の一歩を踏みだす。小さく踏み出そうという気は全くなく、できるところまで突っ込んだ結果大変だった」とあおみさんは語る。

「同じことをやるならスムーズにできるし、新しい取り組みも続けていく。それから、私たちパラケットは結果的に大きくなっただけで、我々が大きくなろうとはしていないんです。VRのコミュニティーが盛り上がることが目的。なので、ほかのイベントの紹介とかもめちゃやる。冷静に考えれば競合ですが、そういうことは気にせず、みんなで仲良くやっていきましょうという感じで。できることはやります」

VRChat上には、こうした有志の取り組みでこのコミュニティーをさらに盛り上げていこうと奮闘するユーザーが多くいる。彼らの力によって、VR文化がさらに前に進んでいく。こうした有志の熱い想いから新たな文化が芽生えていくのだと改めて実感させられた取材となった。

今後のVR展示イベントの一歩先が見れるパラケット。開催期間の12日までの間にぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

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(TEXT by アシュトン

●関連リンク
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