.LIVE所属のメリーミルクが卒業 最後にはストーリー演出も……?

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メリーミルクさん/メリーミルクの森 「ある前の日
©2024 Appland, Inc.

アップランドが運営するVTuber事務所「.LIVE」2期生のメリーミルクさんは、5月17日をもって同事務所を卒業し、VTuber活動を終了した

同事務所から卒業するVTuberは、前回アイドル部に所属していた5名が活動を終了した2021年から約3年ぶりであり、長きにわたって事務所を応援してきたファンには悲しみの声が聞こえた。

メリーミルクさんが活動を開始したのは、2018年3月23日。まだ当時.LIVEがVTuberオーディションを開始して間もないころで、VTuber自体の人気も現在ほどのものではなかった。

同月に個人として活動を先行してはじめた、.LIVE 1期生「アイドル部」で活動をしていた花京院ちえりさん、もこ田めめめさんのように、メリーミルクさんも個人のVTuberから2期生のオーディションに合格し、.LIVEに所属した経緯を持っている。

初投稿の自己紹介動画では、好物をパンとミルク、「動物さんがとっても大好きです」と語っていた。その後の活動では度々配信やX(Twitter)ではパンに関する発言やファンアートが多くみられた。こうしたことから、2023年にはメリーミルクさんとパン屋とのコラボレーション企画が実施されたこともある

メリーミルクさんはおっとりとした性格を反映するように、活動をとても気ままに行っていた。数カ月おきにひょこっと現れるように、Xでポストしたり、告知をしたり。そうした中での可愛さだけでなく、「レアキャラ感」もファンから愛される要因になっていただろう。

また、得意なイラストを活かしたお絵描き配信、雑談、ゲーム実況などのジャンルでおっとりした様子を魅せて活動してきたメリーミルクさんだったが、フィットネスゲーム「リングフィットアドベンチャー」をプレイした際には、性格からはギャップともとれる力加減で「パワーミルク」の異名で知られるようになり、多数の二次創作品が作られた。


穏やかに終わると思われた最後の配信 まさかのストーリー展開

*この先は卒業配信やメリーミルクさんの活動に関する重大なネタバレを含みます。










さて、事務所を卒業したメリーミルクさんは、卒業と同日である5月17日に卒業配信を実施した。

なおメリーミルクさんの最後の配信のタイトルは、.LIVE所属発表当日に初めて事務所所属VTuberとして配信した「おやすみ、メリーミルク」に近しく「おやすみメリーミルク」として開始した。

配信前半では、3Dで登場したメリーミルクさん。等身の小さな体に、足まで伸びた髪。これまでと違って指先まで動くことで、感情を指先まで表現。時にポーズをとったり、コメントを返しながら、ファンに「メリーに沢山の景色を、世界を見せてくださって、ありがとうございます。」などと感謝や気持ちを伝えた。

「引退とはいってもメリーは羊さん(編注: ファンネーム)とずっと一緒なんですよ。」「また夢の中でお会いしましょう。良い夢を。おやすみなさい。」とメリーミルクさんは別れを告げた。


タイトルが変更!? 画面に現れた少女

最後とは思えないほど、しんみりとしない内容は、どこかいつも通りで、ゆったりと26分という短い時間が流れ、配信が終了した……と思われた。

切り替わった画面には、雪が降る夜が見える窓辺が映し出された。それと同時に暖炉の音だろうか、薪が燃えるようなパチパチとした音が聞こえるように。コメント欄も「おやすみなさい」と多くのファンが打つ中、意表を突かれる展開に「!?」というコメントが多数あり、驚きが伝わってくる。

配信コメントの中には「タイトルが変わっている!」という声も寄せられ、この時には「ある前の日」と題名を変えていた。

その後、薪が燃えるような音が消え、画面と音声にノイズが走り、再び映し出された画面には左上に「●REC」や右上にバッテリーのマークなどビデオカメラで撮っているような映像に。

ビデオカメラの映像?/メリーミルクの森 「ある前の日
©2024 Appland, Inc.

映像では、クリスマスツリーや足をブラブラと動かしながら、暖炉の前で絵を描く少女が映し出される。遠くにいながらも、等身の低いメリーミルクとは異なる人間であることは、コメント欄もこのときから察していた。

再びノイズが走ると、絵を描いていた少女はこちらのカメラに近寄り、持ち上げ、レンズの向こうで見る我々に向かって「こんにちは!」とあいさつをした。「これは私のこと見えているの? なんか、小っちゃい文字がいっぱいある」とコミュニケーションをとろうとする彼女。コメントから名前を聞かれた彼女は「メリー・リデルっていいます。」と答えた。

メリー・リデル/メリーミルクの森 「ある前の日
©2024 Appland, Inc.
メリーミルクの絵/メリーミルクの森 「ある前の日
©2024 Appland, Inc.

我々に「お話しよ」と語りかけるメリー・リデル。「このお家よりもずっと、ずっと大きなお船」にパパと乗船すると話しており、ずっとお絵描きをしていたという。

その描いていた絵には「わたしの考えたお姫様=メリーミルク」が描かれており、彼女は「こんなに髪が長くて、足まで髪の毛があるの」などと我々の知るVTuber・メリーミルクさんの容姿を話した。そんな絵を「パパに見せに行こうかな」と我々に語りかけたところで、再び画面と音声にノイズが走った。

三度画面が見えると、文字テロップで「あなたは 絵本のそばにあった しおりが挟まれている ある一冊の本をめくった・・・」と彼女の父親と思われる手記の文章が画面に映し出される。その内容は一部伏字はされているとはいえ、ひどく残忍なものとわかった。父親は余命の迫る娘に永遠の命を手に入れさせるために、絵本を作り、娘を立方体に閉じ込め、海に沈めようとしていた。


「絵本を燃やしますか?」残酷なアンケート

そして、チャンネルのコメントにひとつのアンケートが打たれる。「絵本を燃やしますか?」。与えられた選択肢は2つ。「燃やす」か「燃やさない」か。燃やせば、彼女は永遠の命を失い、この世からいなくなる。

そんな残忍なアンケートに心苦しく思うファンが多く、3472票中68%が「燃やさない」選択をとった。しかし、配信画面は変わらず、再びコメント欄にチャンネルからのメッセージが届く。

「絵本を燃やしますか?」
「燃やす」「燃やさない」

実際のアンケート
©2024 Appland, Inc.

我々に選択肢など、なかったように、再び残酷なアンケートが開始される。

コメントでは「辛すぎる」「選択するしかないのか……」とその選択を理解しながらも、「燃やす」を選ぶ票が投票開始直後から優勢になり、最終的に投票数は3904票で「燃やす(61%)」「燃やさない(38%)」と燃やす結末が選ばれ、配信画面には絵本「メリーミルクの森」が青く燃え、灰へと消えた。

燃えていく絵本/メリーミルクの森 「ある前の日
©2024 Appland, Inc.

しかし、画面と音にノイズが走るとメリー・リデルが帰ってきた。「どうしたの?」「なにか面白いものでも見つけた?」と我々に問いかけるが、コメントは各々がその結果に気まずそうに反応を示していた。

対してメリー・リデルは無邪気そうにしている。彼女はおそらく父親が見つけてほしいという、我々が燃やした絵本を探している。しかし「いいや」の声と共にカメラを手放してしまい、おそらく今度は故障してしまったのだろう。ノイズが走り、再び映ったあと彼女が我々に手を振り、その姿を消してしまった。

そして彼女は客船・フィエルテ号にパパと乗船する。画面に映し出されたメリーミルクさんの服は黒くなり、メリー・リデルは海に沈みゆく。そして、画面は暗転し、いつもの配信終了時に流れるオルゴールとともに配信はおわった。彼女は永遠の命を手にすることなく、生涯を終えた。メリー・リデルがメリーミルクになることはなかったのだ。


人々の記憶から消えない限り

これがメリーミルクさんの最後の配信の一部始終であり、「メリーミルク」の終幕だ。メリーミルクさんの物語、いちVTuberとしての活動はここで終わっても、配信「おやすみ、メリーミルク」にはこのような一文がある。


人々の記憶から消えない限り、メリーミルクは永遠に生き続けているのだ」と。


かつて3年前に卒業したアイドル部・金剛いろはさんも最後の配信で「いろははここにいる。見えなくなっただけで、あるって分かってたらあるのと同じだから」と似た発言していた。

今回の配信は彼女が我々の記憶から決して抜け落ちることのない、ある意味「自らを殺めるための選択」をさせた。

しかし、この終わりは筆者にとっては、いちクリエイターとして、とてもきれいな終わり方に感じる。

これまで自らの世界観を示してきた彼女が唯一、仮想の存在として終わる道。

それが今回のような結末だったのかもしれない。

これまでゆるやかに活動してきた彼女ではあるが、これまでこうしたストーリー関係の配信では映像、作曲、イラストなどに至るまで多くを自らで制作してきたことがクレジットされていた。それを考えれば、ストーリーに関して長きにわたる構想や制作に時間を割いてきた可能性は大いに考えられる。

最後の配信「ある前の日」は単なるストーリーの前日譚や終焉ではなく、彼女にとって「メリーミルク」としての集大成だったのだろう


(TEXT by 古月 a.k.a ツナ津)

*初出時、「メリーリベル」と表記しておりましたが、正しくは「メリーリデル」でした。訂正してお詫び申し上げます(2024年5月18日16時43分)


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