聖地、VRにあります 「きんいろモザイク」のVRChat公式ワールドを先行体験してきた!

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突然ですが、きんいろモザイク」という作品をご存知ですか?

僕は知っています。というか大好きでした。2014年のアニメ放映当時、それはもう深い感銘を受け、狂ったようにリアタイで視聴した思い出があります。

そしていま、僕は「VRChat」というソーシャルVRにハマっているのですが、なんとここに「きんいろモザイク」がやってきました。作中の舞台を再現したワールドの公開、だけでなく「公式なりきり衣装」も出すそう……「マジか!!??」と驚愕いたしました。

これはぜひスタートダッシュをキメねばと思っていた矢先、ありがたいことに企画を立ち上げた株式会社Vより、先行体験会へのお誘いをいただきました。本記事では、いまなお愛される名作『きんいろモザイク』の「VRChat」上陸の全貌を、先行体験会の様子を交えつつお伝えします。


「きんいろモザイク」とは?

まずは「きんいろモザイク」について軽くご紹介しましょう。

同作は「まんがタイムきららMAX」にて連載されていた、原悠衣さん作の4コマ漫画です。これを原作としたTVアニメは2013年に第1期、2015年に第2期が放映。2016年にはスペシャルエピソード「きんいろモザイク Pretty Days」が公開。そして2021年には劇場版「きんいろモザイク Thank you!!」が上映され、原作と合わせて完結を迎えました。

外国に憧れる主人公・大宮忍と、日本(と忍)を愛する英国少女のアリス・カータレット、ふたりの友人である小路綾、猪熊陽子、九条カレンを中心に、ゆるいドタバタコメディ調で「異国交流」の物語が描かれ、いわゆる「きららアニメ」の最盛期を築いた一作として、いまなお根強いファンが存在します。

まだ見たことがないという方、ご安心ください。ABEMAAmazon Primedアニメストアバンダイチャンネルなど、様々なプラットフォームにて現在も配信中です。時間がないという人は1期1話だけもご覧ください。ほんッとに素晴らしい”第1話”なので!!


アニメの名シーンを探す「VR聖地巡礼」を体験へ!

1月19日に公開されたワールドでできるのは、ズバリ「VR聖地巡礼」。アリスの故郷である、イギリスのコッツウォルズ地方の町・バイブリーを再現したワールドとなっています。

木々と草原、古びた石垣、レンガ積みの屋根がかわいらしい家々。「イギリスの田舎」のイメージをど真ん中に貫く風景が広がります。アリスはここで生まれ育ち、後に忍がホームステイで訪れ、二人は運命的な出会いを果たすことになります。

アニメの第1期1話から、やわらかで鮮やかなタッチで描かれたこのバイブリーの町から、なんと「作中に登場した場所」をまるっと再現したのが本ワールド。電車の駅ひとつ分はありそうな距離がある広大な空間となっており、目に見える場所はほぼ全て歩いて行くことができます。

アリスがカレンに悩みを相談していた場所も……

アリスが忍を見送った場所も……

1期EDに出てきた電話ボックスがあるあの場所も……!

ぜんぶ。ぜーんぶあります! アニメで見た「あの1シーン」の元ネタへ訪れることができるのです。

しかし、町ひとつ歩くのはなかなかに大変。そんなとき役立つのが、入口に設置されたタブレット。これに町の全域を映した地図が表示されています。

そしてこの地図、ピンマークをタッチすると、アニメ版で映ったシーンが表示されます。聖地巡礼をする上でこれはありがたい! さらに、ピンマーク位置へのテレポートや、移動速度の変更もできる優れものです。

車も配置されており、ワールド内を乗り回すことができます。制作チームも「車に乗って町を回るとすごく気持ちいいですよ!」と太鼓判を押していたので、運転できる方はぜひ!

ところでこのワールド、非常に”現実っぽい”見た目をしているなと思いませんか? 実はこのワールドは、フォトグラメトリと呼ばれる手法で制作されたもの。様々な角度から撮影した写真をもとに、立体的な3Dモデルを作る手法で、今回のワールド制作にあたっても実際にバイブリーに行って大量の写真を撮影したとのことです。

ワールド制作を手掛けたのはノーベルチョコさん。欧州在住であることを活かし、これまでヨーロッパの名所をフォトグラメトリで記録したワールドを数多く公開しています。中には「ご注文はうさぎですか?」の舞台のモデルになったフランス・コルマールの再現ワールドもあるので、バイブリーと合わせて訪れてみるのもアリですね!


あなたもアリスとカレンになれる!? 公式なりきり衣装をチェック

今回の企画はワールド公開だけではありません。アリスとカレンの「公式衣装」が、1月19日に発売されました!

「公式衣装」といっても、現実のアパレルではなく、「VRChat」向けのアバターに着せることができる3Dモデルデータ。いわゆる「アバター改変衣装」と呼ばれるものです。

商品としては、アリスとカレンが着ている制服に加えて、髪型の3Dモデルも付属。現実のものに例えるなら、コスプレ衣装にウィッグまでついているようなイメージです。いわば「公式なりきりセット」と呼べるものですが、この手のセットはIPコンテンツ公式で出ている例はそれほど多くありません(直近だと「ギルティギア」が代表例)。

調整なしで着せることができる対応アバターは、「桔梗」、「マヌカ」、「」、「カリン」、「ミルク」の5体です。後者2体は、制作者のお名前をとって通称「こまどアバター」とも呼ばれています。「カリン」と「ミルク」は、同じショップから販売中の「ラスク」、「ミント」と素体のある程度の互換性があるので、スケールを少しいじれば着せてあげられるかもしれません。

ちなみに、商品ページのサムネイルに選ばれているのは「カリン」と「ミルク」。先行体験会には衣装のアンバサダーとして、「こまどアバター」ユーザーによるアイドルグループ「SugaryRabbit」が招かれ、かわいらしい着用例を見せてくれました。

なお、衣装のカラーリング変更や、衣装セットの一部(例えば、アリスの髪型や、カレンのパーカー)だけを拝借する使い方も、個人利用の範疇であればOKだそう。おしゃれ好きな人にも見逃せないアイテムになりそうです!


企画の舞台裏を聞いてみた

聖地巡礼ができる3DCG空間の公開だけでなく、キャラクターの衣装まで3Dモデルとして発売と、VRChatユーザーはもちろん、『きんいろモザイク』を知る人にとっても、今回の企画は驚きの展開と言えるでしょう。

どのような経緯で今回の企画が実現し、形になったのか。質疑応答の時間でいくつかわかったことがあるので、以下にまとめていきます。

──今回の企画はどのような経緯で実現したのでしょうか?

株式会社V Alice(以下、Alice) 弊社から「きんいろモザイク」様へお声掛けさせていただきました。もともと、弊社の基幹であるバーチャルファッション事業として「公式衣装を出したい」というところからスタートしたのですが、お話を重ねていく中で、公式ワールド企画も持ち上がった次第です。


──なぜ今回『きんいろモザイク』が企画の題材として選ばれたのでしょう?

Alice 今年10周年を迎える「きんいろモザイク」には根強いファンが多く、特に「コッツウォルズへ行きたい」というニーズは、過去にもツアーパッケージが組まれるほど強いんですよね。そこで、バイブリーを「VRChat」上に再現することで、現地に行きたいけど行けない人にも、アニメの聖地を探訪するという体験を創出できると考え、いろいろなお話をさせていただくなかで今回の企画が実現した形です。


──ワールドはどのように制作されたのでしょうか?

ノーベルチョコ 基本的には360度カメラを背中に背負って、バイブリー全体を歩いて必要な写真を集め、一部の場所は一眼カメラを用いて集中的に撮影を行いました。トータルで1.5時間ほど、映像からの切り出しも含めて、8000枚ほどの写真をワールド制作に使っていますね。


──衣装だけでなく、髪型も含めた「公式なりきりセット」として発売に至ったのはなぜでしょうか?

Alice 衣装だけでなく髪型も合わせれば、より深くアニメの世界観に没入できると考え、弊社より提案させていただきました。特にアリスとカレンは髪型も特徴的だったので、今回第1弾として選出しました。


──サムネイルに選出されたアバターが、アリスは『ミルク』、カレンは『カリン』なのはなぜでしょう? また、「SugaryRabbit」がアンバサダーに選出された理由も教えてください。

Alice いくつかイメージに合うアバターをピックアップさせていただいた中で、最もイメージに合うのが「ミルク」と「カリン」だったためですね。そのうえで、本件でご協力いただいた「メタカル最前線」のアシュトンさんの「こまどアバターならぜひ呼びたい」という一声で「SugaryRabbit」にもお声掛けさせていただきました。


──今後も株式会社Vにて、アニメやゲームと「VRChat」のタイアップ企画は実施される見込みなのでしょうか?

Alice もちろんです。誰しも夢見るであろう「アニメ・ゲームの世界に入る」体験を、弊社で実現していきたいと思っていて、今年もいくつかの企画がすでに進行中です。


──今回はアリスとカレンが公式衣装としてピックアップされましたが、その他のキャラクターの衣装展開や、そのほかの展開の予定はありますか?

Alice 今回の企画の反響次第になるかと!


いつでも、好きな姿で、きんモザの聖地を旅しよう!

アニメの聖地として有名なイギリスの町を、VRでいつでも体験できる。しかも、作中のキャラクターに近い姿となって歩くことができる。「聖地巡礼」という言葉がアニメファンに浸透して久しいですが、「時間と場所を気にせず、好きな容姿でできる聖地巡礼」が気軽にできるのは、世界広しと言えどもおそらくVRの中だけでしょう。

そして、ここまで深くアニメ作品が『VRChat』企画として派生しているのは、なかなかにめずらしいもの。昨年は『VRChat』との公式パートナー契約を結ぶ企業が20社近く登場し、企業主導の企画ラッシュが予感されたのですが、その実例として大きな一歩です。なにより、「アニメやゲームの世界に入る」という夢が実現し始めているのは、一ファンとしても非常にうれしいですよね。

このVR聖地巡礼は『VRChat』ユーザーだけでなく、『きんいろモザイク』が好きな方にもぜひ体験してほしいところです。PC版専用ワールドなので少々ハードルは高いですが、ゲーミングPCをお持ちの方はVR空間に再現されたアリスの故郷にぜひ訪れてみてください!

(TEXT by 浅田カズラ

©原悠⾐・芳⽂社/劇場版きんいろモザイクThank you!!製作委員会


●関連リンク
・公式ワールド(VRChat
・公式衣装(アリスカレン