KAMITSUBAKI STUDIO「CIEL」、初のVRChatライブレポート 400人が一緒にいたというライブ体験に感動

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KAMITSUBAKI STUDIO所属、リアルとバーチャルを行き来する越境型シンガー・CIELさんは11月25日、VRChatにての音楽ライブCIEL LIVE SHOWCASE at VRChat」を開催した。同スタジオといえば、花譜など多くのバーチャルアーティストを擁し、非常に高いクオリティーのライブを実施してきたことで知られており、今回のイベントは、VRChatを舞台に選んだ初めての試みとなる。YouTubeのアーカイブは12月3日の23時59分まで視聴可能だ(本編は1時間11分20秒からスタートする)。


CIELさんは「映画大好きポンポさん」の主題歌「窓を開けて」アーティストとして2021年に颯爽とデビュー。表情があると形容したくなる芯の強い歌声を特徴に注目を集め、執筆時点でYouTubeのチャンネル登録者は17万を超えている。

今回の「CIEL LIVE SHOWCASE at VRChat」は、トライアルライブという位置づけであり、CIELさんからも披露されるのは2曲のみであることが事前にアナウンスされていた。VRChat、YouTubeどちらの配信も無料での開催だ。

VRChatでは、まずは神椿スタジオのグループに参加し、そこからインスタンスに入るという流れだった。VRChatではひとつのワールドに入れる人数に限界があり、インスタンスというワールドのコピーを複数用意することで、同じイベントをリアルタイムで体験できる仕組みを提供している。今回、ひとつのインスタンスに参加できるのは50人までで、複数のインスタンスを立てて合計400人が参加しているという仕掛けだった。


会場は、「神椿市」の港湾地区、伍番街防潮水門に作られたステージ。会場手前には待機列形成場所もあり、VRで入ると本当にリアルのイベントに来た気分になれた。始まる前から作り込まれた雰囲気に期待が高まる。

今回のイベント用アバターも用意されていた。男性タイプ女性タイプがあり、好きな方を選んで参加できた。全員、灰色のコートとフードをまとった姿になり、会場の雰囲気づくりもバッチリだ。

時間になると、CIELさんがステージの上に現れ、早速の歌が始まった。一曲目である「馥郁の街」(ふくいくのまち)、CIELさんの3rdシングルである。

あたりは暗く、夜の雰囲気で、その雰囲気にもぴったりの曲だった。ワンコーラス終わってから、曲中に自己紹介を挟み、再び歌う。頻繁に客席に目線を送るCIELさんの様子が、これは「ライブ」であり、来場者との距離の近さも感じさせた。

曲が終わると、改めての自己紹介と今回の企画趣旨を伝えるMCタイムに移る。CIELさんからも客席が見えていて、ステージから見る客席に圧倒されていることを伝えていた。そう、観客側の1インスタンスには50人しか入れないが、実はそれぞれのインスタンスはつながっていて、会場にいる400人の動きは同期していたのだ! CIELさんのMCに答えてピョコピョコと飛び跳ねていた観客は、すべて本物なのである。


続いて2曲目の「空より」が始まった。こちらは5thシングルだ。

空が明るくなり、朝になった。シャボン玉があたりを彩り、会場全体が空にせり上がっていく。空間をフルに活用した演出はまさにVRならでは。逆光がCIELさんを照らし、光の中で歌う姿は本当に、本当に美しかった。

「空より」の終盤、ステージ上を細かく移動しながら、全方位の客席に向かって丁寧に手を振ってくれる場面では、筆者の前に来てくれたときに「CIELさんと目が合った」と感じた。他の場所にいた参加者もきっとそう思ったはずだ。VRライブはともすれば、たくさんの機材や演出に阻まれて、出演者と観客との距離ができてしまうこともある。だが、今回は、確かに同じ場所に、CIELさんと400人が一緒にいたことを感じさせてくれた。

終演後、告知として、新しいEPと、そのEPからの先行配信曲のリリースが告知された。これからの活動もますます充実していくことを、楽しみにしていきたい。

YouTubeでのアーカイブは12月3日までの公開なので、見逃した方はお早めに。

(Text by:松xR

 
 
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