新たなバーチャルアーティストも輝きを見せた「VTuber Fes Japan 2023」レポート【ニコニコ超会議2023】

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「ニコニコ超会議」内のイベントの一つとして2019年にスタートしたVTuberの祭典「VTuber Fes Japan」。昨年までは2DAYS公演だったが、今年は「Part1(前半)」と「Part2(後半)」の2部制へと変更され、4月30日(日)に「VTuber Fes Japan 2023」として開催。超会議の会場である幕張メッセのホール11にある特設会場に総勢45名のバーチャルアーティストが集結し、生バンドによる演奏とともに、オリジナル曲や人気曲のカバーなど全43曲の熱いステージを披露した。

このレポートでは、例年以上に濃い1日となった4回目の「VTuber Fes Japan」をダイジェストでレポート。気になるVTuberやステージが見つかったら、5月31日(水)中まで視聴可能なニコニコ生放送のアーカイブでチェックして欲しい。


この日限りの7人ユニットで「VTuber Fes Japan 2023」が開演

12時に開演した「VTuber Fes Japan 2023」の「Part1(前半)」。「はじまるぞ~」と叫びながら最初にステージに登場したのは、昨年に続いてMCを担当するバーチャルMCの一翔剣さんと、ホロライブ1期生の夏色まつりさん。今年の「超会議」では、マスクを着用していれば観客の声出しもオッケーになったため、会場からはさっそく大きな歓声が響いていた。

軽快なやりとりでさらに会場を沸かせた二人が退場し、全出演者を紹介するオープニング映像が流れた後の1曲目は、いきなりコラボによるパフォーマンス。テレ朝公式メタバースアイドルユニットめたしっぷの4人と、VALISNEFFYさん、RARAさん、バーチャルシンガーの奏みみさんという普段の活動スタイルなどがまったく異なり、接点も少なそうな3グループ7人がDECO*27さんのボカロ曲「シンデレラ」を軽快なダンスと共に披露した。
バーチャルとリアル(通称、オリジン)の二つの姿でパフォーマンスを繰り広げている6人組ユニットのVALISと、昨年の「VTuber Fes Japan 2022」にも出演していた奏さんの歌やダンスは、さまざまなイベントやライブでも観てきたが、めたしっぷのステージを観たのは今回が初めて。今年1月に結成されためたしっぷだが、ダンスのキレとシンクロ度合いは、すでに新人アイドルの域を超えるクオリティだった。

第2ブロックの中盤で再びステージに戻ってきためたしっぷの4人、桜庭ハグさん、藤咲まやさん、黄花はてなさん、森風るのさんは、アイドルらしく一人一人自己紹介をした後、1曲目「シンデレラ」でステージに立ったときの感想を語りあう。有観客のステージで歌とダンスを見せるのは、この「VTuber Fes Japan 2023」が初めてという事実には驚いた。4人で披露したデビュー曲「メタメタオーライ!」のパフォーマンスも、1曲目で感じた好印象をさらに高めるクオリティ。タイミングや手足の振りの大きさなども綺麗に揃ったダンスには感心させられた。


めたしっぷ、七海うららら新人のパフォーマンスに驚き

自分が知らなかった魅力的なアーティストを知ることができるのも、フェスの大きな魅力の一つ。めたしっぷに続いて登場した七海うららさんも、筆者にとっては、「VTuber Fes Japan 2023」で出会えた才能の一人だ。ライターのむちむちぷにぷにさんがPANORAで連載している「VTuber見つけ隊」記事を読み、個人勢出身ながら5月にはavexからのメジャーデビューが決まっていることなどの情報は知っていたのだが、歌やダンスを観るのはこのステージが初めて。それもそのはずで、七海さん自身、3Dの身体でステージに立つのはこの日が初めてだったらしい。

「バーチャルの世界って、本当に最強になれると思っていて」と語った後に歌ったのは、劇場アニメ「ONE PIECE FILM RED」の挿入歌「私は最強」。ロングヘアーで清楚な印象のビジュアルとはギャップのある力強いボーカルも印象的だった。

七海さんは「Part2(後半)」にも登場し、富士葵さん、SIROさん、涼海ネモさんと4人で「ヴァンパイア」KMNZ春猿火さん、龍ヶ崎リンさんと5人で「DAYBREAK FRONTLINE(Fantastic Youth arrange ver)」をそれぞれ熱唱。歌唱力に定評があってステージ経験も豊富なVTuberやVSingarが多い中、見劣りしないほどの存在感を見せていた。

フェスでの試みとしてユニークに感じたのが、「Part1(前半)」の15曲目から18曲目の「Twilight」ゾーン。ななしいんく所属、龍ヶ崎リンさんの1stシングル「Twilight Stream」。ライブユニオン所属、HACHIさんの10thシングル「Twilight Line」。REALITYプロダクション所属のバーチャルガールズデュオVESPERBELLの1stアルバム収録曲「Twilight」。曲名に「Twilight」と付いた曲が3曲続けて披露されたのだ。

ハスキーな歌声が魅力の龍ヶ崎さんの「Twilight Stream」は、得意のラップも織り込まれたクールな曲で、バーチャル界有数のボーカリストHACHIさんが歌い上げた「Twilight Line」では、伴奏に4人のストリングスも加わり、会場中がエモーショナルな空気に包まれた。VESPERBELLの「Twilight」は、一転してアップテンポでポップな曲。ヨミさんとカスカさんは、華やかな歌声とダンスで、先の2曲とはまた違う「トワイライト(黄昏)」を表現していた。

「Part1(前半)」の最後を飾ったのは、ホロライブプロダクションの男性VTuberグループ「ホロスターズ」1期生の律可さん、奏手イヅルさんと、2期生のアステル・レダさん、夕刻ロベルさん。披露したのは、グループの3rdシングル「Find It」と、2ndシングル「JOURNEY to FIND STARS」。音楽イベントでパフォーマンスするホロスターズを観るのが初めてだった筆者は、普段の配信とは雰囲気が異なるアイドルとしてのさわやかでカッコいい姿に少し驚かされた。ホロスターズが登場する瞬間に聞こえてきたのは、女性ファンの黄色い声援だったが、綺麗に重なりあった力強くも爽やかな歌声はわずか2曲だけで会場中の観客の心をしっかりと掴んでいるように感じた。

「Part1(前半)」セットリスト

「VTuber Fes Japan」の常連HIMEHINAの圧倒的ステージ

休憩を挟んだ後の「Part2(後半)」は、ななしいんく所属、因幡はねるさんの2ndオリジナルソング「独占予報」でスタート。去年の「VTuber Fes Japan 2022」では、同じ事務所の仲間とともに4人で「DAY1」のトップバッターを務めた因幡さんだが、今年はソロで後半のトップバッターとして登場。事前インタビューで、「プレッシャーはあまりない」と語っていたとおり、伸び伸びと楽しそうなパフォーマンスを見せ、まるでアイドルのような輝きを放っていた。

後半2組目として登場したのは、バーチャルHIPHOPガールズデュオ KMNZ。3rdアルバムの収録曲「WE ARE BACK」は、KMNZのLITAさんとLIZさんの個性と魅力が最大限、堪能できる日本語ラップ曲。数多くの出演アーティストの中でも、二人にしか作れないステージを生み出していた。

「VTuber Fes Japan」では、毎回、インパクトの強いステージを披露している2人組ユニットのHIMEHINAは、13曲目でAdoさんの「踊」を歌った後、オリジナル曲「Hello,Hologram」「WWW」を披露。VTuberの楽曲にあまり詳しくない人でも知っているであろう大ヒット曲のカバーと、オリジナルの中でも鉄板で盛り上がる曲と最新曲という組み合わせは、事前インタビューで予告していた通り「めちゃくちゃ爆上げのセトリ」。特に「Hello,Hologram」では、この日の全パフォーマンスの中でも一、二を争うほどに会場の熱気の高まりを感じた。

例年同様、バーチャル界でも有数の実力派シンガーが数多く出演していた「VTuber Fes Japan 2023」。その中でも、特に熱くハイレベルなコラボとなったのが、17曲目でボカロ曲「-ERROR」をカバーしたHACHIさんと、幸祜さんのデュエット。交互に歌詞割りされたパートでは、まるで競い合うことで高め合ってるようにも聴こえていた二人の歌姫の歌声は、ラスサビでは美しいハーモニーとなって重なり響いてきた。パフォーマンスに圧倒された後の「ありがとうございました。HACHIと」「幸祜でした。またね」という去り際の可愛い挨拶も、歌声とのギャップで破壊力抜群だ。


最後は、出演者全員でテーマ曲「ピース!!」を熱唱

「VTuber Fes Japan 2023」の最終盤を担当したのは、大人気VTuberグループ「ホロライブ」の3人。まずステージに現れたのは、MCとしても大活躍した夏色まつりさん。ライブでは、いつも明るく可愛いアイドル路線の楽曲を歌うことが多いが、今回はヨルシカの「だから僕は音楽をやめた」をカバー。MCのときの印象とはガラリと違うアーティストとしての一面を披露した。

続いて登場したのは、ホロライブ0期生のAZKiさん。豊富なオリジナル曲の中からこのステージのために選ばれたのは、18thシングル「Intersection」事前インタビューでは、「盛り上がっていく曲」を歌うことにしたと予告していたのだが、納得の選曲だ。2020年にリリースされた曲なのだが、昨年11月にお披露目された可愛く清楚な新衣装に不思議なくらいマッチしていた。

ソロとして最後に登場した、ホロライブ0期生のときのそらさんは、4thアルバム収録曲「エレクトリカル・サーフィン」を披露。「VTuber Fes Japan」のような大舞台での経験値は、アイドルVTuberの中でもトップクラスのそらさんは、巧みに満員のファンを煽りながら会場をさらに盛り上げていく。

そして、最後は、今年3月に開催されたホロライブ4thフェスに合わせて作られた全体曲「Our Bright Parade」を3人で披露。ホロライブの全体曲は、どの曲もライブのクライマックスを抜群に盛り上げてくれる。

フィナーレは、MCの一翔剣さんも加えた出演者45人全員で、昨年の「VTuber Fes Japan 2022」で発表されたテーマソング「ピース!!」を熱唱。一つのステージに45人のバーチャルアーティストが並んで歌うことなんてことは、第1回の「VTuber Fes Japan 2019」では、技術的に不可能だったはず。VTuber文化の広がりと同時に進んできた技術の進化を改めて実感するような光景だった。

HIMEHINA、KMNZ、ときのそらさんなど第1回からおなじみの出演者たちによるハイレベルなパフォーマンスはもちろん、七海うららさんや、めたしっぷら新たなバーチャルアーティストの活躍も非常に印象的だった今年の「VTuber Fes Japan 2023」。人気の拡大が続くVTuber界とともに、本ライブもバーチャル界を代表するフェスとして、まだまだ進化を続けていくことになりそうだ。

「Part2(後半)」セットリスト


(Text by Daisuke Marumoto


●VTuber Fes Japan 2023 Supported by Paidy 開催概要
・主催:ドワンゴ
・日程:2022年4月30日(日)
・会場:幕張メッセ ニコニコ超会議2023特設ステージ
・ニコニコ生放送配信URL:
 Part1(前半パート)

 Part2(後半パート)

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●関連リンク
VTuber Fes Japan 2023(公式サイト)
VTuber Fes Japan 2023(Twitter)
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