奏みみ・VTuber Fes Japan特別インタビュー 「本番のステージでは、第一声からみんなの心を掴みたい」

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4月29、30日、幕張メッセの「ニコニコ超会議 2022」内で開催されるバーチャルアーティストによる音楽&トークライブフェス「VTuber Fes Japan 2022」(関連記事)。

業界を代表するバーチャルタレントが個人・企業の枠を超えて一堂に会するというイベントだが、今年は初めて「出ようぜ!VTuber Fes ステージ出演オーディション」と題した企画も行なっており、自分から実力をアピールしてステージの出演権を勝ち取りたいというVTuberにも門戸を開いている。

そんなオーディションにおいて、ルーキー、チャレンジャー、ユニットの3部門で出演権を獲得したVTuberにPANORAはインタビューを敢行した。今回はチャレンジャー部門奏みみさんにお話を聞いた(以下、敬称略)。

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「TUBEOUT!」の出演でライブの楽しさを知る

──まず、「初めまして」の読者もいるかもしれないので、簡単に自己紹介をお願いいたします。

奏みみ はい、バーチャルシンガーの奏みみです! 2018年12月のデビュー当時は身長60cmのぽっちゃり猫の姿で、最初の活動の場はTikTokでした。私自身TikTokを見るのが好きだったので、楽しみながら動画を投稿して、フォロワーも10万、20万、25万と順調に伸びていきました。

YouTubeでの配信を積極的に始めたのは猫耳・人型の姿に変身できるようになったここ1年くらいからで、現在は歌枠を中心に配信しています。自分のチャンネルで定期的にライブを開催したり、作詞・作曲の楽曲制作だったりと、活動の中心は歌ですね。

 
──デビュー当時の思い出は?

奏みみ 思い出……。デビュー前の私は、配信者さんや歌ってみたの歌い手さん、Twitter文化など、ネットの世界についてあまり触れてこなくて、とにかく歌が好きで、歌っていただけだったんです。

いってしまえば、何をすればネット受けがいいのかわからずにこの世界に飛び込んで、みんなにそんなに聞いてもらえないかもしれないけど、洋楽のような自分の好きなジャンルを歌っていました。今なら「こういう歌の方がウケたのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、自分で表現したいものを表現し続けているのは変わらないし、同じ気持ちでやってきたのはよかったなと思います。

 
──3年以上の活動とVTuberとしては長いほうですが、印象深かったことは?

奏みみ そうですね。変身前だと「TUBEOUT!」(チューバウト)というライブイベントで、2020年3月に女の子5人が出演した回があって、そのイベントに出演してから自分の活動が始まったという実感があります。

ライブに呼んでもらえるきっかけになったのが、YouTubeで見つけたPIANO FLAVAさんのフリートラックに自作のラップを乗せた「CAT STREET」というオリジナル曲でした。まだ活動を始めたばかりで、オリジナル曲なんて夢のまた夢という時期でしたが、スタッフさんと「とにかくオリ曲をYouTubeにアップしよう」「作詞、録音、動画制作、全部自分たちでやってみよう」とつくったことでイベントに誘っていただけたんです。

「CAT STREET」があったから、ライブでAZKiさん、獅子神レオナさん、朝ノ瑠璃さん、MaiRさんと知り合うことができたし、今でもみなさんとコラボしたり、イベントで共演させていただいたりと、今の活動にもつながっています。そしてイベントで初めて奏みみを知ってくださった方も多かったと感じました。いろいろ印象的な出来事は多いんですが、TUBEOUT! Vol.3に出させていただいたのは、本当に今につながっているなって思います。

 ──今のお話を聞いていると、ネットというよりはライブの現場に活動のアイデンティティを求める表現者なのかなと感じました。

奏みみ 実はライブについては、意外とこの活動を始めてからです(笑)。以前は友達の前で歌ったり、弾き語りをしていたぐらいで、ライブハウスでのライブっていうのをまったくやったことがなかったんです。VTuber Fesのオーディションでも体の芯からガタガタ震えるぐらいに緊張してしまいました。

だから、やっぱりライブの場数を踏むのが必要だなということで、2021年は夏に9週連続で公演してみたりと突っ走ってきて、その先にVTuber Fesのオーディションという大きなチャレンジがあったんです。


オーディションの途中で頭が真っ白……からの覚醒!

──VTuber Fesのオーディション自体もいろいろ対策を考えて臨まれたという?

奏みみ こうしたファンの方々に支援していただいて、結果も外部から見えるというオーディションは初めてだったので、作戦とかもなかなか思いつきませんでした。「初めてのことがたくさんで、上手くできるか分からないけど、とにかくニコニコ生放送をやってみるから見に来てください」とファンのみんなにお願いしたら、「わかった、アプリダウンロードする」「久しぶりにニコニコのアカウント開くから予習しておくね」みたいな感じでとても前向きに言ってくれて。

みみはとにかくやり方を調べて、なんとか配信枠を作れて、みんなに告知できて、じゃあオーディション前日に練習してみようって配信して、「めっちゃ楽しいじゃん!」みたいな。とにかくいつも通り歌を届けて、このニコ生という場をみんな全力で楽しもうとみんなで話して決めて進んできました。

だから一次審査は、ニコ生ならではの楽しみ方をみんなで見つけてはやってみての繰り返しで、毎日がお祭りみたいな感じでした。二次審査はTwitterだったので、ファンのみんなや、VTuberの友達がたくさんみみのツイートを拡散してくれたんです。二次審査の後半はオリジナル曲を毎日投稿していたんですけど、オーディションというよりは、「みみちゃんの曲最高だから聴いて!」「この曲、舞台で聴きたくない?」みたいなテンションで拡散してくれて。

その一次、二次の審査を通じて、最初に決めた「全力で楽しもう」ということができてたし、何よりもみんなの気持ちがすごく嬉しかったです。「奏みみの歌をたくさんの方に届けたい」という気持ちで一つになれているように感じました。


──いい話だ……!

奏みみ 応募したときはすごく不安だったんですけど、審査が進むごとにみんなでの楽しさも増していくし、「あ、これ出ないと!」という気持ちもより強くなっていったんです。こんなにみんなが応援してくれて、こんなみんなステージに立つ姿が見たいと言ってくれて、出なければいけないという気持ちが増していってからの最終審査だったんです。

だからいろいろな気持ちが混ざっていました。いつも通り楽しく歌いたい、いつも応援してくれている方に届けたい、でも目の前にいるスタッフさんだったりゲストや司会の方、初見さんを魅了しなきゃという、いろいろな気持ちが混ざっていました。私のファンクラブに参加している方々には当日の実況をしたのですが、持参した麦芽コーヒーを自分のコートにぶちまけてしまったりして「本当に緊張してるな……」とも感じました。

直前は震えてしまって、深呼吸をしていないと普通でいられない、震えが抑えきれないという状況でした。でも震えを止めることができないから、このまま頑張るしかないなって。あんなに芯から震えることがあるんだということに驚きました。

 
──そんなに緊張されていたのに、本番は堂々たるパフォーマンスで圧倒されました。

奏みみ でも普通にバレてしまっていたかなとは思うんですけれども、Aメロの途中で、いつもは飛ばないはずの歌詞が飛んで頭がもう真っ白になってしまいました。不思議なことに最初ではなくて、なんか途中っていう。でもそこから持ち直せたときに震えが止まって「来た!」みたいな。ここから自分らしく歌えるって思えたよくわからない現象が起きたんです。

その持ち直せたというのも、夏のライブ9公演があったからできたんだなと、みみもファンの方も思ったんです。「あのライブの日々があったから、みみちゃん歌い直せた」「やっていてよかった!」って。

 
──それは漫画の主人公が覚醒するみたいなスゴいエピソードですね!

奏みみ 歌い終わったあとは、とにかくやり切ったという気持ちだったんです。ファイナルを迎える前は、「きっともっとこうすればよかった」と後悔するんだろうなと思っていたんですが、当日歌い終わったあとは清々しい顔になれたというのが、自分に対して意外でした。

だから順位がどうあれとても素敵な経験だったなと思っていたんですが、審査結果で「奏みみさんです!」と名前を呼んでいただいたときには、やっぱり涙が溢れてきてしまいました。でもここまで長期間応援してくださったみなさんや、機会をくださった運営の方にとにかくきちんとお礼を言いたくて、その涙をグッとこらえて、ライブ当日は今よりすごいパフォーマンスをするぞという意気込みを伝えました。

 
──素敵なエピソードです。本番のステージでここを見てほしいという話はありますか?

奏みみ そうですね。初めて見る方も多いと思うので、第一声から心を掴みたいです。というのも、私の経験でも「すげー! かっこいい!」と思う人って、第一声からその人を見ざるを得ないことが多かったりするんです。そういう気持ちにさせて知ってもらって、みなさんにもっと歌を聞いてもらい「ちょっと元気になったな」「癒されたな」と感じてもらえる存在になりたいと思っています。

 
──かっこいい! 最後にこれからチャレンジしていきたいことお聞かせください。

奏みみ 自分の言葉で作詞して、曲を作ってリリースして、それをライブで歌う……というのを単純に続けていくだけでも大変なことだと思いますが、だからこそそれを継続していきたいです。アーティストとして当たり前のことを続け、どんどんレベルアップして、届けられる方々を増やしていくということをやっていきたい。

奏みみとしてライブを重ねていく上で、やっと今、自分の場所はライブだと思えているので、これからもライブやイベントを大事にしていきたいです。VTuber Fes当日のステージもご期待ください。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota


<VTuber Fes Japan 2022 Supported by Paidy 開催概要>
・主催:ドワンゴ
・日程:2022年4月29日(金・祝)、30日(土)
・会場:幕張メッセ ニコニコ超会議2022特設ステージ
・ニコニコ生放送配信URL:
 DAY1:4月29日(金・祝)開演 14:30~
 https://live.nicovideo.jp/watch/lv336038713

 DAY2:4月30日(土)開演:14:00~
 https://live.nicovideo.jp/watch/lv336038799


●関連リンク
VTuber Fes Japan 2022(公式サイト)
VTuber Fes Japan 2022(Twitter)
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