とにかく軽くて取り回しが楽! HTCのメガネ型デバイス「VIVE Flow」先行体験レポート

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VIVE Flow

10月にHTCが発表した新型VRヘッドセット「VIVE Flow」。ゲームや体験型コンテンツのプレイをメインとする従来のVRゴーグルとは違い、マインドフルネスや動画視聴をメイン用途として作られたデバイスだ(関連記事)。

日常使いを想定し、気軽に持ち運べるメガネ型デバイスという新しいコンセプトのVIVE Flowは、果たしてユーザーにどんな体験をもたらしてくれるのか。先日、先行体験取材を行ったので、使用感をレポートしていきたい。

なお、予約は本日11月11日スタートで、発売日は18日。公式HPでのみの発売となる。発売日にはローンチタイトルとなるXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を含む100コンテンツが用意されており、年内にコンテンツ数が150以上となる見込みだ。

予約特典として「携帯用金属ケース」「7つのアプリ」がついてくるほか、購入者特典として「VIVE PORT infinity 2ヶ月分」が付与される。

予約開始日11月11日
発売日11月18日
メーカー小売り希望価格5万9990円(税込)
VIVE Flow発売情報(資料より)

189グラムの超軽量&焦点調節機能

VIVE Flow

まずは装着感や使用感を見ていこう。VIVE Flowの最大の特徴は、とにかく軽いこと。本体は189gとかなり軽量で、30分ほど装着しても重さが気になることはなかった。ただし、バッテリーを内蔵していないため、手持ちのチャージャーなどの外部電源と接続して使用することになる。本体を軽量化するための仕様なので致し方ないが、取り回しの面で気になる人もいるかもしれない。

また、冷却ファン内蔵なので随時排熱され、メガネの内部に熱がこもったりディスプレイがくもったりすることがないのはうれしいポイントだ。また、ファン内蔵だと言われないとわからないほど駆動音が静かなので、使用時の快適性にかなり気を使ったデバイスであると感じた。

普段からメガネをかけている筆者が良かったと感じた点は、デバイス自体に焦点距離を調整するダイヤルが付いており、裸眼の状態でコンテンツを楽しめる点。メガネの上からVRゴーグルを装着したり、VRゴーグル専用のメガネを購入・使用している者としてはかなり快適な使用感だった。

解像度両眼3200ピクセル(1600 x 1600ピクセル)
重量189g(+50g [1.2mケーブル])
視野角100度
リフレッシュレート75 Hz
対応スマホAndroid P以降搭載の機種(対応機種一覧
VIVE Flowスペック(抜粋)

既存のVRゴーグルやスマホVRとの違い

VIVE Flow 使用シーン

冒頭にも書いたように、VIVE Flowは「VIVE Pro」シリーズのような従来のVRゴーグルとは異なるコンセプトの製品だ。本体は6DoFだがコントローラーはなく、対応するスマートフォン自体をコントローラーにする。

専用コントローラーと違って細かい操作は難しいため、動画視聴などの操作が簡単な用途がメインとなる。このため、製品の位置づけとしては従来のスマホVR機(ゴーグル型のフレームにスマホを差し込んで使う)に近いと感じた。とはいえ、スマホVR機と比べると専用機である分取り回しが楽だし、スマートに使える。

ディスプレイが両眼3200 × 1600ピクセル(1600 × 1600)という高解像度を実現しているところは特筆すべきポイントだろう。これは、初代VIVE Proの両眼2880 × 1600ピクセル(1440 × 1600)とほぼ同等の解像度だ。実際、筆者が常用しているOculusQuest2と比べてもディスプレイの見え方に遜色なく、約30分使用し続けていて負担を感じることもなかった。

視野角は100度と、ハイエンドモデルと比べるとやや狭いのは否めないが、動画を視聴するうえではあまり気にならなかった。

リラックスタイム&イベントでの活用に期待

VIVE Flow 使用シーン

基本的にはVIVE Flow向けの専用コンテンツを利用することになるが、「NETFLIX」や「DAZN」といったAndroid対応のストリーミングサービスも利用できるため、家でのリラックスタイムの動画視聴などが主な使い道に感じる。

先行取材では、マインドフルネス系のコンテンツとして、陶芸を通じて心を落ち着かせる時間を過ごせる「Pottery」を体験した。コントローラーとなるスマートフォンを操作して壺を成形するというゲーム性とVIVE Flowのシンプルな操作性の相性は良いと感じた。このほか、前述のSTYLYも取材時には体験できるコンテンツに限りがあったが、本格ローンチとなった後にはマインドフルネスに向いたコンテンツが増える可能性がある。

また、Bluetooth搭載なので手持ちのイヤホンと接続することも可能だ。取材では体験できなかったが、ASMRコンテンツの体験も視野に入れられているとのことなので、より没入感の高い体験ができそうだ。

プロユースで期待なのが、展示会や体験会などで自身が制作したコンテンツ等を体験してもらう際の使用だ。メガネ型なので髪型が乱れることへの抵抗感など、VRゴーグルを装着してもらうことに対する心理的ハードルをある程度下げるのではないかと感じた。VRゴーグルは装着に慣れを要するが、メガネ型なのでかけるだけとかなり楽だ。また、一時的に外す際に頭にかけたり首元に引っかけたりと、気軽にかけたり外したりできるのも特筆すべきポイントだった。

以上が、VIVE Flowのレポートだ。ハイスペックなVR機器が多く発売される中で発表された新しい趣向のデバイスなだけに、必要とするユーザー層が伝わりにくい製品かもしれない。販売を促すキラーコンテンツの登場に期待したいところである。

(TEXT by ササニシキ

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HTC VIVE公式サイト