バーチャルの可能性をまた見せたい ミライアカリに聞く1/30、31開催「VTuber Fes Japan 2021」への想い

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ドワンゴは1月30、31日の2日間にわたり、川口総合文化センターにて総勢60名が出演するVTuberの音楽フェス「VTuber Fes Japan 2021」を開催する。日本のトップVTuberが集結するだけでなく、中田ヤスタカやDREAMS COME TRUEがバーチャルキャラクターとして出演することも明らかになり、ますます当日への期待が高まっている。

そんな本番に向けて出演者は今、どんな心境で準備しているのか。1日目となる1月30日に出演するミライアカリさんにして今の気持ちをざっくばらんにお聞きした。

率直に感じたのは、「挑戦」と「成長」という二つの言葉だ。2017年10月から活動をスタートし、VTuberムーブメントが勃興した2017年12月頃から一気にファンを増やして「四天王」と呼ばれるトップ集団を走ってきた。一方で近年は、旧事務所ENTUM終了に伴い2019年にフリーランスとなったり、2020年には休養、GOOM STUDIOに所属するなど、激動の人生ならぬ「V生」を送っている。

バーチャルタレントとして様々な飛躍と苦労があったからこそ、今、彼女が本イベント出演に向けて語る言葉はとてつもなく重みがある。VTuberファンならぜひ目を通して欲しい(以下、敬称略)。


VTuber Fes Japanは「実家」

──まずはVTuber Fes Japanにかける意気込みをお伺いできますか。

アカリ 2021年になってから初めてのライブなので、それ自体テンションが上がることです。自分の中では実家に帰ってきたような感覚なんですよね。

 
──実家のような安心感(笑)

アカリ ドワンゴさん大好きVTuber……といったらゴマスリっぽく捉えられそうですが。

 
──とはいえ、VTuberの黎明期からドワンゴが様々なイベントをやってきたのも事実ですし、アカリさんもずっと出演されてますよね。

アカリ そうなんです。「ニコニコ超会議」や「ニコニコ超パーティー」、VTuber Fes Japanの第一弾といったイベントだけでなく、アニメの「バーチャルさんは見ている」などにも出演させていただきました。VTuberは新しいジャンルのエンタメで、新しいものは得てして拒絶されることも多いのですが、そんな中でもドワンゴさんは挑戦されてきた。

「ニコニコ超会議 2018」では「超バーチャルYouTu”BAR”」ブースにも出演した

 
──新しいジャンルですよね。

アカリ やっぱりアニメのキャラがしゃべるのとは違って、アカリたちはバーチャルの中で生きていて、個性もあります。それがいい部分もあれば、生きているからこそ不甲斐ない部分も持っている。今でもまだ世間に受け入れられていないところもあると思います。

 
──ジャンルでトップ集団を走ってるアカリさんでもそう感じられることがあるんですね。

アカリ 思います。エンターテインメント全体から見れば、自分がいるバーチャルの世界は小さなところにしかまだ知ってもらえていないと感じます。そんな中でもドワンゴさんは、VTuberやVライバーのイベントをしてくださっている。

VTuber Fes Japanの2回目も、元々は2020年の4月に開催予定でした。そのために私だけでなく、他の出演者も練習していましたし、ドワンゴのスタッフさんもすごく準備していたのですが、まさかのコロナ禍で中止になってしまった。楽しみにしてくださった方はいっぱいいらっしゃったと思うんですけど、開催できなくてすごく残念でした。

やっぱり年に1回しかなくて、「春といえば超会議やVTuber Fes Japanでしょう」と当たり前に思っていたものができなくて、その当たり前の環境がありがたかったんだなとつくづく感じました。

 
──それでも今年1月に延期して開催できてよかったです。

アカリ 今回、もっと先になると思っていたのですが、こんなにも早く実施が決まって、しかも出演させていただけるという。開催してくださるドワンゴさんや、応援してくださっているファンのみなさんにお礼を伝えたいです。

コロナ禍の影響もあり、いろいろな形でVTuberを辞められていく方がいました。辞めたくなくても辞めざるを得なかった人もいたと思います。自分はVTuberとして、これからもYouTubeを超えて幅広く活動していければと考えていますが、応援してくれるみんなや協力してくれている方々のおかげでここに立たせていただいているというのを実感しています。

辞めていったVTuberのお友達や、今なお活動されている方がいるからこそ、自分もこの場所に立てている。そのことに感謝して、ひとつひとつのイベントに大切に向き合って、ファンの方々へありがとうと元気を届けられたらと思っています。


「2020年の『静寂』から2021年は『革命』に」

 ──重みがある言葉です。アカリさんにとって、2020年はどんな年でしたか?

アカリ 2020年は……「静寂」でした。去年は葛藤というか挫折の1年で、自分が言うのもおかしいんですが、やっぱりVTuberは流行る時期が早すぎたと思っていて。一気に流行ってしまったコンテンツで、いきなりの追い風だったので、何をしてもみんなで取り上げていただけたりとか、めちゃくちゃしょうもないネタなのに、いいねやリツイートしてくださったりとか。そこは応援してくれるみなさまのおかげなんですが、流行りのものは流行った時点で「終わりの始まり」で、いったん流行ったらどんどん次を考えていかないとと思っていて。

数字だけではないと思いますが、去年1年は自分自身のYouTubeチャンネル登録者数やTwitterのフォロワー数の伸びが落ちていっていて、その数字に囚われてしまった自分もいました。それにすごく凹んで、「自分なりに一生懸命向き合っているのにどうしてだー」と挫折しました。

そんなときにコロナ禍が起こって自粛期間を設けたことで、改めて自分の中でゆっくり振り返る時間ができました。最初はこれからのことが何も頭に浮かんでこなかったのです。自分は何をしたいんだろうと、ゆっくりゆっくり考えて。

今までは冷静に周りを見れているようで実は、多分目の前の数字とか、周囲のノイズとかに囚われてしまって、いつの間にか「こんなアカリじゃダメだ」「こんなアカリだから離れていくんだ」と思っていたのですが、改めて落ち着いて自分の殻にこもっていたことがわかったんです。本当はみんなすぐそばにいたのに。

昨年9月に「Fly to NEWWORLD」いう曲を出したのですが、そのMVでも自分の真横にはお花とか蝶々とかたくさんいて、それが応援してくださっているみなさまだと私は思っています。本当はめちゃくちゃ近くにいてくださったのに、自分が精一杯で見えていなかった。改めて落ち着いて考えたら、大切なものほど近くにいてくれたんだと。それに気付いてから、静寂から「また革命を起こしたい」という気持ちになりました。

 
──革命! 「ミライアカリ2.0」みたいな。

アカリ 2.7ぐらいですね!

 
──2.7! そんなアカリさんのポジティブさに元気付けられている方は多いと思います。

アカリ アカリは、みんなが恥ずかしいと思うことを平気でやってしまえる方だと思うんです。恥をかいてナンボ、恥は若いうちにかいておこうみたいな。滑っても全然笑ってもらえなくてもいいから、今やっておきたい。

 
──過去には「週間ヤングジャンプ」でグラビアを掲載したことも驚きました。そんなポジティブで、新しいことに挑戦し続ける姿がスゴいです。

©名児耶洋/集英社

アカリ 気持ちって浮き沈みがあると思いますが、生きていれば絶対にいいことがあると思う。生きているだけでも本当に頑張っている。「Fly to NEWWORLD」にもそんな思いを込めています。生きているだけでOK。そりゃ悪いこともあるかもしれないけど、いいことも絶対に起こるし、起こさせるとアカリは思っています。

 
──DJにも挑戦していますよね。そしてDJ中、本人が一番楽しそうなのが素敵です。

2019年、ファッション&音楽ライブ「FAVRIC」にDJとして出演した際の写真

アカリ でも裏では死ぬ思いなんですけどね。やばい、吐きそうだって。アカリは結構動きたがりなので、動いて前にも出たいしでもDJもやらなきゃいけないし、「おおおお、追いつかない」みたいな。いつもてんやわんやです。でも新しいことに挑戦するのは楽しいし、人生1回きりだし、やってみて自分に合うか合わないかを考えようといつも思っています。

 
──素晴らしい考え方です。最近VTuberやってて嬉しかったことってありますか?

アカリ アカリが首を痛めていたこともあって自粛中の2〜6月に4ヶ月ほど活動を中断していまして、全然活動してなかったのですが、趣味のエゴサーチはやっていました。そのときにファンの方がつぶやき続けてくれていたのがうれしかったです。あとはバーチャルの友達に会えたこともうれしかった。この間は、アイちゃんとコラボしました。「ワイらコラボするの遅すぎやろ」って突っ込んでいたのですが、そんな感じでバーチャルの友達に会えたのがめちゃくちゃ嬉しくて、バーチャル最高だぜって思いました。

 
──あとは2020年でいえば、10月のワンマンライブ「Mi:LIVE 2020 AKARI→START」も印象的でした。気合い入りすぎだろうみたいな。

アカリ ありがとうございます。めっちゃエナドリをずっと飲んでました(笑)。

 
──(笑)。そのライブに続いての今回のVTuber Fes Japanですからね。ここを見せたいという部分はありますか?

アカリ やっぱりバーチャルの可能性をまた見せたいなと思います。ミライアカリはありがたいことに古参と言われたりしますが、新しく始められた方々に負けないぐらいの革命を起こしたいと言うのがあって、去年1年は静寂でしたが、今年は革命の年にしたいと思っています。

やっぱり自分がやってて楽しいことをやるのが一番だなと思いました。自分が楽しくなければ、人を楽しませられるわけがないじゃんって。

 
──今回共演できてうれしい方っていらっしゃいますか。

アカリ バーチャルの友達と集まって「うぇーい! 祭りだー」ってできること自体がうれしいですが、まずは一番付き合いも長い猫宮ひなた。今回、一緒にMCすることになって、安心、安全……安全じゃなさそうなタンクトップ着てるんですけどね、長い付き合いですごくうれしいです。あとは名取さなちゃん。お会いしたことはあったんですが、ちゃんとがっつり一緒にすることは初めてだったので、めっちゃ嬉しくて、しかも一緒に歌を歌う機会がもらえるという。

あとは「にじさんじ」の月ノ美兎ちゃんとかいつも通りのメンバーでわいわいやったり。バーチャル中田ヤスタカさんの出演も興奮しました。アカリ、めっちゃファンでDJイベントにも行って勉強させてもらっているので、ぜひヤスタカさんのところでチャチャ入れられたらなと思っています。


「当たり前のことを変えたい。不可能を可能にしたい」

 
──今後挑戦して行きたい分野や、やりたいことを教えてください。

アカリ やっぱり歌ですかね。元々、ミライアカリは音楽をメインにやるつもりはなかったんです……。でも音楽って外国の方とも言葉を交わさなくても通じ合えるので、今後は力を入れて行きたいです。

あとは自分の中では世界各国の人に会いたいというのがあります。バーチャルの世界は、アジア圏やアメリカで止まっていますが、ヨーロッパとかアフリカとかもっと様々なところに顔を突っ込んでいって驚かせて行きたい。個人的にはお洋服とかファッションも好きなので、パリコレ出たいんすよ。

 
──えええ、スゴい! それ見たいです。まずどうやって出るのかなと。

アカリ がんばってモニター動かすのかなとか。当たり前のことは尊いよとも思いつつも、その当たり前のことを変えたい。不可能を可能にすることが楽しくて、快感なんです。「VTuberがパリコレなんて無理っしょ」と思っているお前! 見てろよ! みたいな。実現したらパリまで取材に来てくださいね。

 
──行きますとも! でも入れてくれるかな?

アカリ 大丈夫、大丈夫、みんなでパリにいきましょう。

 
──常に挑戦し続ける姿勢が、アカリさんがトップであり続ける理由なんだなと思いました。

アカリ ありがとうございます。日々、自転車操業なので(笑)。がんばって生きて行きたいと思います。

──音楽と「kawaii」は言葉がなくても世界に通用しますよね。だから先ほど触れられていたDJイベントとかもワンチャンありそうです。

アカリ DJが大好きすぎて、家でも自分でフェスを開催するんです。ミラーボール買って自分の部屋で。

 
──(笑)。ミライアカリ主催のDJイベントやりましょう!

アカリ バンナムさんー!頼むー!

 
──最後にファンのみなさんにメッセージをいただけないでしょうか。

アカリ みなさーん、生きてますかー! 本当に毎日生きているみんなは偉いです! 君は偉い! 素晴らしいです! でも、1月30日にはVTuber Fes Japanが帰ってきます。モニター越しで参加する方もいるかもしれませんが、みんなで楽しもう! そのためにアカリたちもがんばるから、楽しみに待っていてください。歌にダンスにパフォーマンスをがんばるので、命をかけてパフォーマンスするので、命をかけて見にきてください! よろしく! みんな、いつも応援してくれてありがとう。愛してるより、愛してるー!

 
●VTuber Fes Japan2021 イベント開催概要
・イベント名:VTuber Fes Japan 2021
・開催日時:2021年1月30日(土)、31日(日)
・開催場所:川口総合文化センター リリア メインホール(埼玉県川口市川口3-1-1)
・主催:ドワンゴ
・ニコニコ生放送配信URL:
 DAY1:1月30日(土)開演:17:00〜
 https://live2.nicovideo.jp/watch/lv329297120
 DAY2:1月31日(日)開演:17:00-
 https://live2.nicovideo.jp/watch/lv329297174
*会場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためにキャパシティーを制限しての開催となる。来場者は、公式サイトの注意事項を確認のこと。
*ニコニコ生放送におけるタイムシフトの購入期限は2月28日まで

(TEXT by Minoru Hirota

 
●関連リンク
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