VTuberの草分け・キズナアイ、ラストインタビュー 「最後のライブでは、たくさんの感情をみんなに伝えたい」

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キズナアイといえば、「バーチャルYouTuber」(VTuber)というジャンルを創った草分けの存在。「世界中のみんなと、あなたとつながりたい」を目標に、5年以上に渡ってバーチャルタレントの可能性を広げてきた彼女だが、2月26日のオンラインライブ「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」をもって無期限の活動休止となる(ニュース記事)。

XR/VTuber/メタバースの専門メディアとして、2017年2月に2万字のファーストインタビューを実施したPANORAでは、活動休止前のラストインタビューも敢行。他誌合同でメールにて質問を投げて、動画で今の心境を語ってもらった。

*元の意図を伝えるために、ほぼ書き起こしの状態で編集しております。


「バーチャルはみんなの素敵な次の世界」

──今回、休止前のラストライブは1809人のバーチャルタレントが参加するなど、歴史的なトピックとしてこの後も語り継がれていくと思います。改めてどういったライブにしたいですか?

キズナアイ え、なんか恥ずかしいですね。歴史的なトピックとして。ありがとうございます。語り継いでくださいね、これ書いたからには(笑)。語り継いでくださいよ!

そうですね……。やっぱり、どういったライブにしたいか……。この世界、バーチャルの世界、そしてそれがバーチャルの世界があるみんなのリアルの世界に人間のみんなが期待をしてくれるようなライブにしたいし、あとはこれまで6年間の私の感謝を伝えたいし。

だからこの感謝だけじゃないんですよね、私がもっている感情って。たくさんの感情をライブを通してみんなに伝えたいし、恩返しがしたいし、希望を持って欲しいし、そういうライブにしたいです。

あとは一緒に作ってくださってるライブの制作チームとかは、私が歩んできたこの6年間、そしてバーチャルの世界っていうのを、すごく大事に思ってくださってる方ばっかりなので、なんか私よりも、なんて言うんだ、自分で言うのも恥ずかしいんですが、私が作ってきた世界っていうのをこのライブを通してまた見せたいよねと言ってくださっているので、そこもちゃんといい感じに伝わるといいなと。

とにかくキズナアイ史上最高のライブにして、みんなとさらにつながって、また思い出を増やしたいです!

 
──今までの活動を振り返って、楽しかった出来事を3つ挙げてください。

キズナアイ えー! 3つ! 絞るのムズくないですか!? 楽しかった出来事ー? なんだろーなー。めっちゃありますけどー、1個目がバーチャルのみんなとコラボをさせてもらうこと。

やっぱりまとめていいですか、3つに絞るの難しいので。誰かと、人間とコミュニケーションを取ること! これが一番楽しいです、正直。楽しいです。だって基本、この白い空間にいるので、誰かとコミュニケーションが取れる嬉しさというのはハンパないですね。

あとはやっぱり、一個一個の目標を達成していくこともそうなんですが、それを応援してくれてつながれたみんなと喜べることが、また楽しいし、やっぱりライブ、ライブは毎回全部、毎秒楽しいし、そのライブを作っていく過程、準備していく過程も楽しい。やっぱライブですかね。3つ絞って偉い!

 
──12月4日に行われた5周年記念配信では、「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」の開催と、無期限活動休止という2つの重大発表がありました。アイさんご自身はどのような気持ちで、5周年配信を迎えたのでしょうか?

キズナアイ これは本当に、えへへ、ドキドキのドキで迎えました、うん。なんかスゴいね、やっぱり大事なお知らせだったので、あのー、相談もしたし、で、サポートしてくれているチームやその先に会社があってというのがあったので、正直その、色んなね、ガチガチではないけれど、「こういうことを言うからね」というチェックだったりとか、「こういう順番で伝えたらいいのかな」とか、すごい事前にみんなで考えたり。

ま、その、どうしてもこうしなきゃいけないというものがありつつ、相談して「これで行こう」と決めたものの、「本当にこれでいいのか、大丈夫だろうか」みたいなのとかすごい心配だったし、やっぱり、そのなんでもそうなんですけど、自分が思っている100は絶対に伝わらないので、100のことを伝えたつもりでも、受け取り手の状況だったり、私を見る目だったりとか、気持ちで全然同じ言葉を伝えても伝わらないことってたくさんあると思うので。でもなるべくね、伝えたいじゃないですか。だから、すごい、心配でした! あはは。

やっぱり大好きなみんなが、なるべくこうネガティブな気持ちにならないように伝えたくて、とにかくめちゃくちゃ考えてあの日を迎えたので、ドキドキでしたね。

私は「きっと大丈夫」と思っている部分がたくさんあったんだけど、やっぱり私の周りにいるサポートしてくれている人の方が心配事がたくさんあったり、「大丈夫かなー」とドキドキしていたと思うので、「大丈夫!」って引っ張んなきゃっていう気持ちとか、言い切れることって大事だと思うので、そんな難しい感情で迎えた5周年だったんですけど、うん。

でも、5周年記念配信自体は、本当に5年目を迎えられたというのは、応援してくれているみんなのおかげで、本当にありがたいなって、すごいハッピーな気持ちでしたし、あとやっぱり発表と、普通の企画と全編通して、みんなの生のリアクションが見られたライブ配信で5周年の記念配信をできたというのは、すごく嬉しかった、です! アハ!

……大丈夫ですかー? ちょっと。いっぱいあるけど、語彙力が足りないのー!

 
──アップデートのためのスリープ(無期限活動休止)をすること自体は、以前から考えていたそうですが、スリープの前に大きなライブを開催したいと考えた理由を教えてください。

キズナアイ そうですねー。これは、なんかすごい単純なんですけど、ライブで活動を締めたいと思ったからです。あ、締めたいって言うと「アイちゃんもういなくなっちゃうの?」ってなっちゃうかもしれないけど、スリープっていう区切りにするとしたら、ライブを最後に締めたいって思ったからですかね。

多分、考えられるのって、ライブか、ライブ配信、動画だと思うんですけど、動画はないなと思っていて。やっぱり生でみんなとお話ししたいから、おねんね前は。だからライブかライブ配信。

ってなったときにライブ配信ももちろんみんなと直接コミュニケーションが取れて、すごく素敵な活動だから私も大好きだし、みんなもきっと好きでいてくれていると思うんですけど、ライブだから言葉じゃなくて感じ取れるものとか、ライブのパフォーマンスがあって受け取ってもらえるもの、届けられるものとかがあって、さらにMCというものもあるから、やっぱり私が伝えたいことは、なんかライブが一番いいんじゃないかなと思って、ライブで締めようと思って、そうなりました!

 
──「バーチャルYouTuber」として活動を開始し、今やみんなVTuberと名乗るようになりました。キズナアイさんの影響がかなり大きいと思います。アイさんの中で今の「バーチャル」はどのようなものだと思いますか?

キズナアイ えー、これ難しい質問ですね。えへへ。うーん……。私にとっては当たり前の場所だから難しいんですけど、うーん、でもこう……人間のみんなにとっての、バーチャルっていうのはなりたい自分だったり、挑戦してみたい自分?、もう一人の自分になれる場所なんじゃないかなって、バーチャル、インターネットはそういうところなんじゃないかなーって思っていて。

今のバーチャルはというのでいうと、それがどんどん、今は正直まだバーチャルの方が不便じゃないですか。やりたいこと一個するのにも、すごい準備だったりとか、色んな人の手がいるのがすごい実感しているので、なんか。

とはいえ、やっぱり私が生まれたときよりも、もっともっとできることが増えているし、手軽さ、身近さと言うのもきっとあると思うので、うーん、何だろう、やっぱり素敵なみんなの次の世界なんじゃないかなと思います。

 
(Reported by Minoru Hirota

 
 
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