VRChatがNFTとの統合を否定 NFTに対する企業の温度差が浮き彫りに

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ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」の運営元である米国VRChat社は、NFTおよびブロックチェーンとの統合の予定がないことを明らかにした。1月28日(現地時間)付で公開した公式ブログで発表した。

同ブログ記事では、NFTおよびブロックチェーンの扱いに関して、以下の3つのポリシーを明記している。これらのポリシーはVRChatのユーザーとパートナーに適用されるとしている。

  • 現在または将来にわたって、VRChatとブロックチェーン・NFTとの統合の計画はない
  • ユーザーが別のプラットフォームで3Dモデルや画像などのアセットのNFTを購入した場合、利用規約に反しない限りVRChatでそのアセットを利用できる
  • VRChat内で許可なくNFTやブロックチェーン技術に関する製品やサービスの宣伝、広告、統合、勧誘することを禁じる

VRChatは、以前からNFTやブロックチェーンに否定的な立場をとっており、昨年12月にVRChat内で開催されたイベント「Vket」ではNFT関連の展示を撤去している(下記ツイート参照)。これはゲーム配信プラットフォームの「Steam」と同じだ。VRChatはSteamを通じて配信されており、Steamはガイドラインにおいて「暗号通貨またはNFTの発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション」を「Steamで公開すべきではないもの」と定義している。今回のブログは、NFT・ブロックチェーンに対するVRChatの立場を改めて告知するものと言える。

一方、チェコのSolirax社が運営するソーシャルVRプラットフォーム「Neos VR」はNFT・ブロックチェーンに対して寛容な立場をとっており、つい先日もNFTアーティストのイベントが開催された(関連記事)。NFT・ブロックチェーンの扱いに関して、企業によってかなりの温度差があると言える。

NFT・ブロックチェーンの自体に違法性はない。むしろ運用次第ではデジタルコンテンツの流通に革新をもたらし得る技術だ。ブロックチェーンは、すでに暗号資産の信頼性担保のための基盤として機能しており、金融以外の分野での応用も模索されている。またNFTについても、Twitter社が有料サービス「Twitter Blue」のプロフィール画像にNFTアートを使用できる機能を搭載するなど、大手企業が取り入れる動きも見られる。

とはいえ、現状ではNFTは「自己満足」以外のユーザーメリットが不明確なせいか、NFTに対する立場を明らかにしている企業は多くない。しばらくは、肯定・否定・様子見の企業が混在する状況が続くと考えられるため、我々ユーザーも推移を見守る必要がある。

(TEXT by md)

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