現実の街を舞台に繰り広げた宗谷いちかのライブ、その製作の裏側に迫る

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バルスは、11月20日に開催したVTuber・宗谷いちかによるソロライブ「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」の制作についての製作秘話と今後の展望発表した。

宗谷いちかは、歌やバラエティー企画などで活動するVTuberで、774 inc.所属ユニット「有閑喫茶あにまーれ」のメンバー。ソロライブ「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」は、そんな宗谷いちかの誕生日を記念して開催されたオンラインライブで、自身としては2回目となるソロイベント。2021年に新たに見直されることの多かった「東京」という街をコンセプトに選び、バーチャルライブでの新しい映像表現に挑んだ最先端のライブとなった。

実働スタッフの人数は約30名

観客を飽きさせない、あらゆる演出を詰め込んだバーチャルライブに仕上げるべく、ライブに関わったのはアーティスト本人を除いて合計12名。その陣容はディレクター、3DCGディレクター、テクニカルディレクター、カメラ、サウンドディレクター、映像エディター、プロダクトマネージャー、配信スタッフ、フロアスタッフ。そのほか、ダンス指導やカメラマンなどは外部スタッフの力も借りて、総勢30名ほどで製作に当たったという。

バーチャルライブでの新しい表現追求

全編を通して「バーチャルライブ・オンラインライブだからこそできる新しい表現」に挑戦することにこだわって製作。通常のバーチャルライブでは、リアルのライブと同様に「1つのステージの正面に客席がある」というやり方が多いが、「Ichika Souya 2nd Q Re:18:2」は360度のステージや背景が横スクロールする動きのあるステージなどを作り出している。

また、現実世界では不可能な、渋谷のスクランブル交差点、渋谷・原宿の街中、地下鉄・路地裏・ビルの屋上といったロケーションを舞台に、1つのライブとしてまとめ上げている点は、バーチャルならではの表現と言える。

カメラは最大18個、全体で560以上のカットを使用

全編を通してカメラの切り替えを多用していたこのライブでは、1つのシーンで最大18個のカメラをCG上で設定。全ステージで560以上のカットを使用している。特に、曲数が多かった渋谷と新宿編では、単調にならないよう曲によってカットの切り方を変更。ズームイン・ズームアウトなども取り入れ、さまざまなパターンを見せている。そんなディテールにこだわったライブの映像は、Unity上にCGで制作した舞台を組み込み、リアルタイムのモーションキャプチャー組み合わせて製作している。

バーチャルライブでハンディーカメラを2台同時に起用することは珍しく、さらに今回は、カメラ機材にも特殊なアタッチメントを採用し、画のバリエーションが増え、緩急のある映像を実現することに成功している。

リアルタイムのバーチャルライブ

今回のライブで使用した演出の中には、既存の映像表現として使われてきた演出もある。ただ、それを「リアルタイムのバーチャルライブで行う」事例は少なく、参考となる資料も少なかったため、制作陣でイメージを共有することに最も力を割いたという。

リアルのライブとは違い、オンラインライブは自宅で視聴することが多く、非日常感を演出しにくい側面がある。このため、製作にあたってはとにかく観客を楽しませ続ける構成と画作りを意識したという。結果として、息つく暇さえ与えないような映像体験を実現している。

近い将来の爆発的な発展、普及に期待

制作面の作業が多いのがバーチャルライブの難しい部分であるものの、製作費用としてはゲームやアニメよりはるかに小さい規模で実現できる。また、最近はゲームやアニメのために作成した3DCGをライブに流用することも可能となるだろう。

また、今後は音楽ライブだけでなく、漫画・アニメ・ゲームの舞台化である2.5次元のようなコンテンツを、キャラクターがそのまま演じる「2.2次元」のような取り組みも実現していくと考えられる。

●関連リンク
・宗谷いちか(TwitterYouTube
バルス株式会社