P丸様、初のワンマン・Peace Parade!!レポート 「見つけてくれてありがとう、みんなのことが大好きです」

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マルチエンターテイナーのP丸様。は12月11、12日、東京・両国国技館にて音楽ライブ「Peace Parade!!」を開催。冒頭のみYouTubeにて無料、全編をツイキャス/ bilibili/ZAIKOにて有料でそれぞれ配信した。

彼女としては初となるワンマンライブで、9月にお披露目したばかりの3Dモデルでステージに姿を現し、オリジナル・カバー曲を熱唱して集まったファンを熱狂させていた。アンコールも含めて全15曲を歌った11日のライブを現地取材したのでレポートしていこう。

イラスト、演技、歌などマルチに活躍する新世代の才能

P丸様。といえば、2015年頃より動画投稿をスタートし、YouTubeやTikTokを中心に活動しているネットクリエイターの一人。スゴいのは、イラスト、動画の企画と制作、声真似での演技、歌など、マルチな分野で才能を発揮している点だ。

いわゆる「全部俺」のスタイルで一人でショートアニメーションを量産し、「ゆるふわ〜」「なっきー」「なんでなん川島」「お嬢様と執事」といったシリーズを生み出してきた。ハイテンションで個性が強すぎるキャラクターや、シナリオ・演技の面白さなどで思わず笑ってしまい、ファンになってしまったという方も多いはず。YouTubeは今や222万人のチャンネル登録者数を誇る。

歌手という点でも素晴らしい。「だ・だ・だ・大統領になったらね〜」のキャッチーなサビがTikTok動画のBGMとしてもバズり、YouTubeでも5800万再生を超えている「シル・ヴ・プレジデント」を筆頭に、「メンタルチェンソー」「ときめきブローカー」などのオリジナル曲を数多く発表。3月には1stフルアルバム「Sunny!!」もリリースした。

漫画家としての才能も開花させ、同じくネットを中心に活動する「すとぷり」の四コマ漫画を担当。アニメ「妖怪学園Y 〜Nとの遭遇〜」では、来星ナユ/天見エルナ/エルゼメキアの声優も務めるなど、八面六臂の活躍を見せている。

そうした様々な積み重ねの先に開催したのが、この「Peace Parade!!」だ。彼女は長年「顔出し」してこなかったものの、今年9月に3Dモデルというバーチャルの体を得たことで道が開かれて、リアルイベントも実現できるようになった。

ネットで何かのきっかけで彼女を知って、長ければ5年以上もコメントしたりグッズを買ったりして応援してきたファンにとって、今回のライブは待望ともいうべき初めて「会える」機会。しかも、コロナ禍の2年でイベントから足が遠のいて、久しぶりに音楽を体感できるという時代の後押しもある。

両国国技館の現地では、開場前の待機列で楽しそうに話していたり、開演前のBGMに合わせて客席で黄色のペンライトを振ったり、ライブが始まる直前、BGMの音量が落ちたときに「ワーーーッ」と思わず声を出してしまったりと、この場にいられることが嬉しくてたまらなくて、全員がワクワクしている気持ちが伝わってきた。

 
そして現地で驚いたのは、来場者の客層だ。体感では女性が8、男性2といった割合で、年齢は小学生の低学年から20代前半が中心に見受けられた。ローティーンにも強く支持されるという状況を鑑みてか、運営がファミリー席を用意するという手厚さで、実際、お父さん・お母さんが「子供サービス」のために来ている様子も散見された。

もしかしたら今回が初めてのライブという子供もいたかもしれない。そして「その初めてが、最高の体験だったのでは?」、というのが参加した率直な感想だ。


リアルとの境目がわからない作り込まれた舞台

さて、現地でライブに参加した気持ちを1行でまとめると、「P丸様。かわいい! 歌うま! ステージセットすご!」という感じだ(語彙力ゼロで申し訳ない)。セットリストも怒涛で、1時間半のライブがあっという間に感じられた。

 
まずP丸様。の3Dモデルがとにかくかわいい。「ジト目」なども含めた豊かな表情、ビビッドな色合いで揺れる衣装など、どのシーンの姿を見ても魅了されてしまう。衣装で言えば、「Magical Word」ではネオンのように一部がピンクに輝いており、曲のカッコ良さを彼女自身で加速させていた。これは写真では絶対に伝わらないので、ぜひライブのアーカイブを見て動きのかわいさを実感してほしい。

そしてアーカイブ動画を見れば、彼女の歌のうまさも実感するはず。いつものパワフルさをベースに、例えば、「メンタルチェンソー」や「ちきゅう大爆発」といったオリジナルではリズミカルに気持ちよく歌い上げたり、「おねがいダーリン」のカバーではかわいさを前面に出したりと、曲の魅力を存分に引き出していた。かと思えば、ちょっと滑舌が悪かったり、歌いながら笑ってしまったりして、「彼女らしいなぁ」と感じられるシーンがあるのも、このライブならではの醍醐味だ。


そんな彼女の魅力をいっぱいに引き出していたのが、現地のステージセットと照明になる。キャラクターライブというと、透明ボードにプロジェクターで投影する方式もあるが、今回はステージに400インチほどと推測される巨大なスクリーンを立てていた。

ぜひ見てほしいのは、スクリーン内のCGセットと、リアルのセットの境目を分からないようにしていた工夫だ。例えば、リアルのステージの縁にあるムービングライトと同じ形のムービングライトをCG内にも登場させたり、CGセットの陰影でステージの奥行き感を表現したり、リアルとCGの照明を完全に連動させて赤いライトが当たればきちんと出演者も赤くしたりと、細かい工夫を積み重ねて、リアルとバーチャルの境界を極力取り払っていた。

ネット配信で、引きの映像は会場アリーナ席後方から撮っているカメラを使い、寄りではCGのショットに切り替えるという、混合方式のカメラアングルを採用したのもよかった。キャラクターのリアルライブを配信すると、その仕組み上、正面からのカットが中心になってしまうが、CGのショットを混ぜれば斜め上からなどの見え方も含められる。映像にバリエーションが生まれるため、ライブのスピード感などを表現しやすくなるわけだ。


個人的には、P丸様。における光の表現が素晴らしいと感じた。具体的に言えば、髪の毛や肌のフチが少し輝くように調整されている点だ。この状態で、リアル側とバーチャル側からの照明が彼女に当たると、かわいさがマシマシになる。リアルのライブ会場では遠くて見えにくかったはずなので、ぜひ現地組はアーカイブでもチェックしてみると幸せになれるだろう。

まとめると、奇をてらった演出を盛り込むわけではなく、主役であるP丸様。を立たせてきれいに見せるという基本に忠実に作り込んだステージで、これはライブ自体が初めてというローティーンも十分に楽しめただろうと感じた。


ななもり。&ジェルのサプライズ登場にも大歓声

ライブ本編から見所をピックアップすると、まずオープニング映像が流れて、1曲目の「シル・ヴ・プレジデント」が始まった瞬間は見逃せない。ファンなら誰もが知っているイントロに「最初からクライマックス」のような喜びの声が漏れ、一面黄色のペンライトが揺れる。途中、P丸様。の「両国ー! みんな最後までもりあがっていこうねー」との呼びかけに、ペンライトを振って応えていたところからもファンの嬉しさが伝わってきた。


観客が大きく沸いたといえば、10曲目の「ガチやべぇじゃん feat.ななもり。」も見逃せない。P丸様。の「次の曲はね、すごいよ。大物ゲストさんにきていただきました!」との呼び込みで、彼女とつながりが深い6人組グループ「すとぷり」から、ななもり。さんとジェルさんの2人が登場すると、あまりのサプライズに黄色い歓声が会場から上がる。その後の「あんまり認めたくないけどすごかったわ」「お絵かき芸人じゃなくてちゃんとアイドルしてた」という和気藹々としたイジリも含めて、3人のMCがとても楽しい。

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会場のみんなで見る「ゆるふわ〜」と「お嬢様と執事」も楽しかった。会場に盛り上がってるかと聞いてからの「カップルは帰れぇ〜!」、彼女にまつわるクイズを出して「間違えちゃった方は反省しろ!」など、容赦ない客いじりに同じタイミングでみんなが笑っていて、その一体感に心が和んだ。

 
アンコールでいつものように笑いながら「真面目な話をしようと思います」と切り出して語った、このライブに至るまでの想いにはホロっとさせられた。

「P丸様。の活動をしてきて、いっぱいいろいろ楽しかったこととか、嬉しかったこととか、ときにはちょっと辛かったこととかね。みんなを不安にさせたこともたくさんあったし、ちょっといっぱい色々、『Pちゃん、どうしたんだい』ってときも結構あったと思います。その時も、あんまりみなさんに深い話ができなくて、本当にごめんなさい」

そう口にした上で、5秒ほど深く頭を下げるP丸様。に、会場から温かい拍手が贈られた。

「これからは悲しいのはもう終わりにする。これからは、もしかしたら違うこともあるかもしれないけど、全力でP丸様。という活動を楽しんでいこうと思っていますので、みんなをこれからは絶対に後悔させない、Pちゃんを推してよかったと思えるように、いっぱいいっぱいがんばります。

今こうやってライブを楽しんでくれている、こうやって一緒にPちゃんと遊んでくれている、こんないっぱいのお友達ができてPちゃんとっても幸せです。きてくれたみなさん、本当に本当にありがとうございます。そして有料配信を見てくれているお前らもありがとう。たくさんたくさん人がいる中で、P丸様。を見つけてくれて本当にありがとうございます。みんなのことがとっても大好きです」


その後、歌い出したアンコールの「とっても大好きっ!」には、彼女をこのステージに連れてきてくれたみんなへの感謝の気持ちがいっぱい詰まっていたのだろう。

 
たくさんの笑いと感動で集まったファンを満開の笑顔にさせた「Peace Parade!!」。ツイキャスのアーカイブは、12月25日の23時59分まで視聴可能なので、VTuberファンなどでまだチェックしていない方はぜひ視聴しておこう(チケット購入ページ)。

 
●1日目セットリスト
1.シル・ヴ・プレジデント
2.ときめきブローカー
3.メンタルチェンソー
4.ルマ
5.シャーベット
6.ならばおさらば
7.グリングリン
8.Magical Word
9.ワンダラー
10.ガチやべぇじゃん feat.ななもり。
11.おねがいダーリン
12.侵略魔少女エルゼメキア
13.ちきゅう大爆発
14.ないばいたりてぃ

*アンコール
15.とっても大好きっ!


●2日目セットリスト
1.Magical Word
2.ワンダラー
3.メンタルチェンソー
4.ルマ
5.シル・ヴ・プレジデント
6.ときめきブローカー
7.シャーベット
8.ならばおさらば
9.グリングリン
10.ガチやべぇじゃん feat.ななもり。
11.登録者いらん愛くれ
12.Me
13.ちきゅう大爆発
14.ないばいたりてぃ

*アンコール
15.とっても大好きっ!

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
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