VRアイドルえのぐがさらに進化!「enogu 10 Days Live – 遮二無二 -」後半5日間を一挙レポート!

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7月25日~8月5日に渋谷WWW Xで開催された「enogu 10 Days Live – 遮二無二 -」。常に挑戦し、成長し続けるVRアイドル「えのぐ」の鈴木あんずさん、白藤環さん、日向奈央さん、夏目ハルさんは、多くの「えのぐみ」(ファンの総称)の声援にも後押しされながら、公演ごとに異なるテーマ(課題)を掲げた10日間の武者修行ライブを全力で走り切った。筆者も全公演をリアルタイムで観ていたが、メンバーそれぞれが自分の殻を破り、ライブパフォーマンスをさらに向上させるという目標も間違いなく達成できたはずだ。

ここでは、先日公開した前半5公演のレポートに続き、8月1〜5日に開催された後半5公演をダイジェストでレポート。前半と同じく、一部の公演は現地で取材しているが、ライブ写真は配信画面のスクリーンショットを使用している。

「Day6」はファン投票でセットリストが決定!

8月1日の「Day6」は、えのぐの公式サイト上で行われた楽曲人気投票(ベスト3を投票)の結果によりセットリストが決定。筆者も特に楽しみだった公演の一つで、現地の入場チケットも前売り完売していた。

ステージに登場した4人は、「Magic」「Original Color Girls!!!!」「」と3曲続けて披露。バラードの「Magic」で静かに始まるえのぐのライブは新鮮だった。MCで、人気投票のベスト9を下位から順に歌っていくことを明かした。つまり、冒頭の3曲はベスト9〜7だったわけだ。

4曲目の「It’s 笑 time!」は、昨年実施された投票で1位に選ばれてMVも作られている人気曲だけに、6位という順位は少し予想外。また、この曲を歌唱中、おそらく機材関連のトラブルで少しの時間だけ夏目さんがステージ袖に下がったのだが、他の3人は何事もなかったかのようにパフォーマンスを続け、夏目さんも自分のソロのパートのタイミングで自然に復帰。VRアイドルとしては、他に並ぶもののない豊富なライブ経験を改めて実感する一幕だった。

その後、「常夏パーティータイム」「Armor Break」と続き、7曲目の第3位は、現在の4人体制になって最初に発表した曲で、筆者は1位だと予想していた「スタートライン」。実際に投票した3曲は、3位までに出尽くしてしまい、2位と1位はまったく予想ができなくなってしまった。

しかし、2位の「e☆Jump!→Dream!!」、1位の「絵空事」が披露されると、すぐに納得。投票の際、名曲揃いのリストを見て、非常に悩み、断腸の思いで3曲を選び投票したことを思い出した。考えてみれば、1位に選ばれて納得できない曲など存在しないのだ。おそらく、多くのファンは同じ気持ちだったはず。

ラストの10曲目は、前半5公演でも毎日トリを飾った「遮二無二」のテーマソング「BRAVER」。新曲ながら、人気投票上位の精鋭と同じセットリストに組み込まれても、まったく劣らない存在感。きっと数年後の第2回人気投票では、「テーマソング」というシード権なしでもセットリストに入る曲になっているだろう。

恒例のアフタートークでは、人気投票の裏話を披露。投票締め切り数日前の時点での1位は、グループ最初のオリジナル曲「えのぐ」だったが、最終集計ではセットリスト圏外の10位。しかも、9位とは1票差で、10位はほかに3曲もある大接戦だったらしい。古参ファンにとっては格別の思い入れがあるはずの1stオリジナル曲が惜しくも圏外になったのは、新規のファンが着実に増えている証拠でもあるのだろう。

アニメファンなら誰もが知る名曲2曲をカバー

8月2日の「Day7」は、「かっこいい疾走感のある楽曲のみで構成した『かっこ良さ全振りライブ』」がテーマ。カバー曲のパフォーマンスもあることは事前に告知されていた。早くも2曲目で和田光司さんの名曲「Butter-Fly」を披露。魂を鼓舞するような歌詞も、力強いメロディーもえのぐとの相性は抜群。この日は配信で視聴したのだが、会場のファンをうらやましく感じた。

4曲目の「It’s 笑 time!」で、カッコ良さも治安の悪さも5割増しのラップを披露した白藤さんと日向さんは、5曲目でユニット曲「無敵のヒーロー」を熱唱。もともと疾走感にあふれるかっこいい曲を、二人で競い合うようにしながら、さらに力強く歌っていく。

6曲目は、またもカバー曲、「いきものがかり」の「ブルーバード」だ。日向さんの伸びやかなソロで始まり、Aメロ、Bメロは鈴木さん、白藤さん、夏目さんがソロで歌いつないでいくのだが、サビでは4人の声が綺麗にハモっていく。「Day5」のアフタートークで予告していた鈴木さんと白藤さんがハモリに挑戦する曲は、この曲だったのだ。しかも、後のMCでの解説によると、鈴木さんが上ハモ、白藤さんが下ハモ、日向さんと夏目さんが主旋律のメロディーという3声でのハーモニー。やはり、会場へ行くべきだった。

そして、7曲目は、7日目にして「遮二無二」では初披露となる「アンプリファー」。パッション担当の白藤さんはもちろん、メンバー全員、歌声はいつも以上に熱くかっこいいのに、片手を翼のように横に伸ばした4人がクルクルと回るサビの振りがかわいらしく、ギャップが刺さる。

アカペラバージョンの「Dreamin’ World」を初披露

8月3日の「Day8」は、「持ち歌をアレンジした楽曲で構成した『バラエティ盛り盛りライブ』がテーマ。オープニング映像が流れた後、明るくなったステージで4人は半円状に並び、中央に向いている。「これは何のフォーメーションだったかな?」と記憶を探っていると、夏目さんの「1、2、3」というカウントに続き、白藤さんがアカペラで「Dreamin’ World」を歌い始めた。その歌声に鈴木さんはコーラスを重ね、日向さんはベースパートを担当。夏目さんは、カウントの後も特技のボイスパーカッションでリズムを刻み続ける。1曲フルでアカペラという、会場のファン全員が思わず聴き入ってしまうサプライズなパフォーマンスだった。4人組の女性アイドルがボイパありのアカペラセッションに挑戦するだけでも異例だが、10Daysライブの中の1公演のためだけに挑戦するのは尋常なことではない。さすがは世界一を目指す4人だ。

えのぐのハモリ担当で、複数の楽器が弾けて、自身のソロ曲では作曲も手掛けるなど特技が多い夏目さんは、昨年末からボイパを練習中。まだ初心者という意味で「ボイパベイビー」と自称しているが、ステージ上でアカペラを引っ張れる「赤ちゃん」なんて存在しない。堂々と新たな特技にカウントしてほしい。

2曲目と3曲目は、ユニットで曲を交換。白藤さんと日向さんが「午前0時のプリンセス」をキュートに歌い、鈴木さんと夏目さんが拳を突き上げながら「無敵のヒーロー」を歌う。「えのぐ」は全員がかわいく、全員がかっこいいのだから当然かもしれないが、どちらの曲も「このバージョンもあり」だった。

4曲目「YeLL for Dear」、7曲目「常夏パーティータイム」、9曲目「栞」は、アレンジバージョンで披露。「栞」は、テーマ通りに疾走感を強めたアレンジで、イントロでは一瞬、どの曲か困惑したほど。歌う4人のテンションも別の曲のようだった。

アフタートークでは、初めてのアカペラ挑戦についての裏話などを披露。「遮二無二」が開幕した後も、毎日、公演終了後にアカペラを1回、合わせていたらしい。日向さんの「アカペラが終わった後、泣きそうになった」という言葉からも、この挑戦にかけた4人の思いが伝わってくる。

魂を熱くするえのぐの全力応援ライブ!

8月4日の「Day9」は、「自分や誰かを元気にする・頑張る人の背中を押すことをコンセプトに制作された楽曲のみで構成した『全力応援ライブ』」がテーマ。タイトルだけでも直球の応援歌と分かる「YeLL for Dear」で開幕した。

3曲歌った後の最初のMCで、鈴木さんが今日のテーマを選んだ理由を明かす。

「(いつも)応援してくれるみんなをもっともっと全力で応援したいと思って、みんなで考えて、この『Day9』のテーマを『全力応援ライブ』にしました。みなさん、いつも本当にありがとうございます!」

6曲めでは、ロードオブメジャーの「心絵」をカバー。野球アニメ「メジャー~1stシーズン~」のオープニング主題歌で、ライブのテーマにも、えのぐにもぴったりの心を鼓舞する熱い曲だ。4人それぞれのソロと全員でのコーラスを巧みに組み合わせた歌割りは、力のあるボーカルが4人揃っているからこそできること。「遮二無二」で披露したカバー曲のすべてに当てはまるが、原曲の魅力を大事にしつつ、自分たちならではの魅力も加えていくというカバーの理想を実現していた。

9曲目は、「Day7」に続いて「遮二無二」では二度目の「アンプリファー」。3月の「enogu 3rd Anniversary Live -臨戦態勢-」で初披露されたこの曲。ライブでのパフォーマンスはまだ4度目だが、聴く度に印象が大きく変わる。「全力応援」モードの「アンプリファー」は、一番熱く自由で、がなり、叫ぶような歌い方も印象的。まさにライブバージョンだった。

ラストの「BRAVER」は、「2021年高校野球 都道府県別大会テーマソング」にも選ばれた青春応援ソング。テーマソングであることを抜きにしても、「Day9」を締めくくるのにふさわしい。

最高を更新し続けた「遮二無二」もついに最終日

最終日となる8月5日の「Day10」は、「観た人・聴いた人が熱くなるような感情に訴えかける『遮二無二ライブ』」がテーマ。それはえのぐが結成当時から取り組んできたことであり、ある意味、ノーテーマで今のえのぐの全力を見られるライブだ。セットリストも含めて、どのようなライブになるのか楽しみにしながら会場へと向かった。

会場に入ると見慣れたステージの奥に「遮二無二」と書かれた横断幕が飾られていた。この横断幕は「Day1」から「Day9」までの退場時、出口前に設置され、希望者は応援メッセージを寄せ書きできたのだが、文字以外の部分はぎっしりとファンのメッセージで埋まっている。悪筆の筆者は尻込みして何も書かなかったのだが、そのことを少し後悔しながら開演時間を待っていた。

オープニング映像が終わり、ステージが明るくなると、鈴木さんだけが正面を向き、他の3人は背中を向けている「遮二無二」ではお馴染みの並び。1曲目は、これまでの全公演ではトリを飾っていた「BRAVER」だ。

「『遮二無二』最終日、全力でいくぞー!」

「おー!」

冒頭、力強く伸びやかなロングトーンの後、鈴木さんが絶叫すると、白藤さん、日向さん、夏目さんもそれに呼応。開幕から熱いパフォーマンスを見せる。

「Original Color Girls!!!!」「It’s 笑 time!」とテンション高まる曲が続いた後の最初のMC。会場チケットが完売したことや横断幕へのメッセージに対するお礼などを語った後、鈴木さんが「遮二無二」が始まる前には「殻を破るって、どうすればいいのかな?」など多くの不安も抱えていたことを明かした。しかし、TwitterやYouTube配信のコメントでのファンから前向きな言葉をもらえたことで、自信を持って初日のステージに立つことができたそうだ。

「9日間の公演で得たたくさんの経験と、みなさんからいただいた応援の力で、10日目の今日という日を皆さんと私たちにとって、一生忘れられない1日にしたいと思います!『enogu 10 Days Live – 遮二無二 -』最終日公演! 最後まで全力で駆け抜けるぞ!」

鈴木さんとメンバー全員の絶叫に続く4曲目は「栞」。その後は、「スタートライン」「Dreamin’ World」と発表当時の「えのぐ」を象徴するような楽曲が続き、感情重視の熱い歌い回しも多かった。

灼熱の10日間を締めくくったのは、魂の曲「BRAVER」

MCを挟んでのラストスパートは、前半の公演で温存されていた「アンプリファー」から始まった。前日ともまた違う「アンプリファー」で一気に増幅された熱気は、続く「Brand new stage」でも冷めはしない。「熱さ」と「かわいさ」という相反しそうな要素を同時に見せるえのぐの真骨頂のようなパフォーマンスだ。

しかし、9曲目、バラードの「Magic」で会場の空気は一変。会場中のファンが4人の美しい歌声のハーモニーに静かに聴き入った。

10日間のラストを締める100曲目は、「遮二無二」のテーマソング「BRAVER」。一度静めた会場の熱を最後の1曲だけで最高潮に持っていけるのか。あえてそんな難しい課題に挑んでいるかのようなセットリストだ。そして4人は、クライマックスにふさわしい熱い歌とダンスで、それを実現してみせる。

「Day1」で真っさらな新曲として披露されたえのぐの「魂の歌」は、灼熱の10日間の中、4人の熱い魂で打たれ、研ぎ澄まされていき、その名を冠するに値する新たな武器となっていた。きっと、今後のライブでは「ここで『BRAVER』はずるい!」と何度も思わされることだろう。

ライブの最後では、鈴木さんが「遮二無二」に関わったすべての人への感謝を伝えた後、改めて、必ず「世界一のVRアイドル」になることを宣言。ステージを去る間際には、8月29日に全公演生バンド演奏で開催される「enogu one-man Live 2021 Summer -不撓不屈-」での目標も語った。

「この10日間を更新する最高のライブにしますので、皆さん、ぜひ『えのぐ』のライブを観に来てください!」

常に最高を更新し続けることが「えのぐ」のモットーとはいえ、10日間を追いかけてきた一人として、一瞬たりとも気を抜かないストイックさに改めて驚く。もちろん期待も高まった。

過去最長の長さとなったアフタートークでは、ライブが終幕するまでは語れなかったであろうさまざまな思いが明かされた。えのぐのYouTubeチャンネルで全編無料公開された「Day10」はアフタートークも含めてアーカイブ化されているので、えのぐに興味を抱いた人は、ぜひ本編と併せて視聴してほしい。

また、アフタートーク中には、鈴木さんのTwitterアカウントで「不撓不屈」のキービジュアルも初公開。会場にいるファンが全員、ステージの4人ではなく、スマホを見つめてそのツイートを拡散している面白い光景が見られた。

「えのぐ」のライブなどの取材を始めて約1年。自分の中で各メンバーの魅力や個性などのイメージが固まってきた中で追いかけた10 Days Live。「殻を破る」という目標に挑む4人の姿を見ていると、そのイメージも自然と変化、更新されていった。

歌い出しやサビでソロを歌うことも多い鈴木さんの綺麗なボーカルは、小柄でかわいい身体やステージ以外の言動からは想像できないほど音圧が強く、重みも増している。パフォーマンスの面でも大きな柱になっていることを再認識した。

自他ともに認める「パッション」担当の白藤さんのパフォーマンスは、灼熱の10日間をさらに熱くした。同時にソロパートを中心に伸びやかな歌声の印象も強まり、「Day8」のアカペラのリードボーカルでの安定感には驚かされた。

音楽面での豊かな才能に自由奔放さを併せ持ち、パフォーマンスの随所にアドリブで特大の「かわいい」を添える夏目さんは、「Day7」や「Day8」でのユニット入れ替え曲などで披露したかっこいい歌声も魅力的だった。

高音まで強く美しい歌声と、キレキレのダンスでえのぐを引っ張る日向さんは、綺麗なだけではない、がむしゃらに叫ぶような歌声が聴ける機会も増え、熱い思いがこれまで以上に伝わってきた。

「遮二無二」の10日間の取材で発見し、今、必死に文章化した4人の魅力も、8月29日の「enogu one-man Live 2021 Summer -不撓不屈-」が終わった後には、きっと過去の情報となる。また、彼女たちの新たな魅力に気づかされていることだろう。

約3週間後、どんなレポートを書くことになるのか楽しみだ。

(TEXT by 丸本大輔

●関連リンク
「不撓不屈」公式サイト
えのぐ(YouTubeチャンネル)