【データで見る、ツイ伸び新人VTuber】2021年4月第1週はVeibae、胡桃澤もも、山黒音玄、神響うた

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企業・個人を問わず、毎日何十人もの新人がデビューしていくVTuberの世界。一方、すでに業界内には多くの才能が存在しているため、今の「推し」の動画・配信を追うだけで精一杯、新人まで気が回らないというVTuberファンも多いはず。そんな方に向けて送るのが本連載「データで見る、ツイ伸び新人VTuber」です。

分析・執筆は、Twitterのリストから随時2万人以上のVTuberのデータを収集して分析しているmyrmecoleonさんが担当。直近の7日間でTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを数名紹介します。


こんにちは。myrmecoleonと申します。今回も最近勢いのあるVTuberを紹介していきます。以下は直近にTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを並べたグラフです。今回はここから、フォロワーが10%以上増加したVeibae(ヴェイベ)さん、胡桃澤(くるみざわ)ももさん、山黒音玄(やまぐろねくろ)さん、神響(じんきょう)うたさんの4名をピックアップ。伸びた原因も推測しつつ、プロフィールをまとめました。

VTuberリスト登録のTwitterアカウントから、2021年4月5日13時から12日13時にフォロワー数が5%以上増加したうちのフォロワー数増加上位。データはTwitter APIより取得(以下同じ)。記事で取り上げたアカウントの棒グラフはオレンジ色に変えた。

Veibae

新衣装お披露目配信の切り抜きからスクリーンショット。

Veibaeさんはtwitchを中心に活動するVTuber。イギリス出身の恥ずかしがり屋のサキュバスで、2020年4月頃からVTuberとしての活動を開始しました。日本語は得意でないものの日本好きで、5月に日本人YouTuberのShinjiさんに翻訳字幕付き動画で紹介されて以降、英語圏のVTuberながら日本人リスナーも多いのが特徴。ゲーム実況配信を中心に活動しているほか、日本人向けに英語のスラングを紹介する配信もしています。

今回の7日間では12%増となる1万人以上が彼女をTwitterでフォローしました。この要因の一つは10日行われた2Dモデルのお披露目です。キャラクターデザインはNeonbeatさん、またLive2Dモデル制作はホロライブメンバーなども手掛けているけっふぃーさん。これまで使ってきた3Dモデルからデザインがリニューアルされ、また翌日には新しい3Dモデルもお披露目されました。

加えてVeibaeさんの英語圏のVTuberグループ「VShojo」への加入も発表されました。もともとVeibaeさんはVShojoのメンバーであるNyatasha NyannersさんやSilvervaleさんらと親しく(以前に紹介したSnuffyさんとも親しい方です)、待望のVShojo参加と言えるでしょう。ちょうどキズナアイさんらとVShojoメンバーでのAmong Usコラボが発表されましたが、こちらにも参加されます。

7日間に増加した新規フォロワーの傾向(該当アカウント群から300名超を無作為抽出の上フォローしているアカウントを集計。以下同じ)を見ると、Nyatasha Nyannersさんを筆頭にVShojoメンバーのフォロワーがまず多く、VShojo加入の影響が分かります。またGawr GuraさんやNinomae Ina’nisさんらホロライブEnglishのリスナーも新規フォロワーの中に見えます(ホロライブEnglishリスナーにも馴染みの良い新2Dモデルのせいかもしれません)。なおキズナアイさんらとのコラボが発表されたものの、いまのところそちらの影響は見えません。

VeibaeさんのVShojo加入や日本のVTuberとのAmong Usコラボは、VShojoや日本と海外のVTuberの関係の新たな展開の一歩と見え、興味深い動きです。

胡桃澤もも

初配信からスクリーンショット。

胡桃澤ももさんは4月9日に初配信をした魔法少女。犬山たまきさんで知られる漫画家・佃煮のりおさんがプロデュースするVTuber事務所「のりプロ」所属で、以前に紹介した逢魔きららさんや夢乃リリスさんと同期ののりプロ2期生となります。キャラクターデザインはにじさんじの天宮こころさんなども手掛けているさくらしおりさん。魔法界からやってきた魔法少女で、VTuber活動が魔法少女育成学校での卒業試験を兼ねているそうです。

今回の7日間では15%増となる2600名以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeでも5200名近くが新規登録しておりこちらも大きく伸びています。執筆時点ではTwitter・YouTubeとも2万名を越えており、夢乃リリスさんや逢魔きららさんと同じく、のりプロ新人として大変注目されています。

個性的なメンバーが多いのりプロですが、見た目そのまま清楚で可愛いのが胡桃澤ももさん。初配信の最初から「おジャ魔女カーニバル!!」でアイドルのような歌声を披露し、せきをするときのミュートでは「エヘン虫を退治してくる」と可愛らしい言い換えでなごませ、「クリームブリュレ」が言えないところも可愛く、リスナー・のりプロの先輩たち含めメロメロとなっています。ゲーム配信やASMRにもチャレンジしていきたいとのこと。歌がお好きでMIXも勉強中らしく、歌枠の配信や歌ってみた動画が期待されます。

7日間に彼女のTwitterをフォローしたアカウントはやはり3/4が犬山たまきさんのフォロワーで、のりプロリスナー内での注目が目立ちます。またしぐれういさんのフォロワーも多く、似た可愛さを見出されてるのかもしれません。

のりプロ2期生は次は看谷にぃあさんのデビューが5月下旬に予定されています。胡桃澤ももさん、看谷にぃあさんはのりプロ2期生の中でもアイドル組に位置付けられてるメンバーで、胡桃澤ももさんと同じく可愛らしいデビューが楽しみです。

山黒音玄

初配信よりスクリーンショット。

山黒音玄さんは4月12日に初配信した「あおぎり高校」の新入生。2018年10月から活動してるVTuberグループ「あおぎり高校」の新メンバーです。あおぎり高校の美術部の部室にあった動く絵で、死んで幽霊になった彼女が絵に乗り移ったとのこと。2020年10月のあおぎり高校2周年記念配信で存在が紹介、オーディションをへて、今回ついにデビューとなりました。

4月8日に投稿したASMR動画ではミステリックな姿を見せ、先輩方と共演した10日の水菜月夏希さんの卒業式配信ではおとなしい後輩を演じていましたが、初配信ではリスナーが考えた自分のミリしら設定を切って捨て、お花見などで仲良くしているリア充たちを一人で観察するのが趣味、好きなアニメは「今、そこにいる僕」、好きなゲームは「沙耶の唄」「車輪の国、向日葵の少女」とディープさを見せつけてきました。

初投稿をはさむ今回の7日間では114%増となる1100名以上が彼女をTwitterでフォローしました。なお調査は初配信が行われる前となります。初配信翌日となる現在、Twitterフォロワー数は2500名以上、YouTubeチャンネル登録数も8000名以上と良いスタートを切っています。

7日間に彼女のTwitterをフォローしたアカウントはやはり先輩の音霊魂子さんを筆頭とするあおぎり高校メンバーのフォロワーが9割。先日の卒業配信などで彼女の存在を知ってフォローした層が多いかと思います。

3Dモデル中心で始まったあおぎり高校の新メンバーに2Dモデルで「動く絵」の山黒音玄さんが入ったことは、今後の戦略のための新たな一歩なのかなと思います。あおぎり高校の今後が期待されます。

神響うた

初配信よりスクリーンショット。

神響うたさんは「癒乃プロダクション」1期生として2月27日に初配信をしたVTuber。山の神様をしているクマで、人の姿で人に交じって暮らしています。歌うのが好きで、初投稿は歌ってみた動画、歌枠を中心にゲームや雑談を交えて配信中心に活動しており、かわいらしい関西弁の話し声とかっこよく力強い歌声が魅力的です。

「癒乃プロダクション」はイラストレーターの癒乃さんが個人で設立したVTuberグループで、神響うたさんらメンバーはいずれも癒乃さんがデザインしています。昨年には予算不足からクラウドファンディングで支援を受けるなど運営は容易でないようですが、2020年10月にデビューした0期生のシャロン姫さんをはじめ、今年2月から3月にかけて神響うたさんを含む1期生の8名がデビュー。最近新たにキャラありオーディションも開始しています。

今回の7日間では214%増となる800名以上が彼女をTwitterでフォローしました。YouTubeでもこの期間に4600名以上がチャンネル登録しています。先週までチャンネル登録数400名に満たないところから12日夜の配信中には6000名を越え、一気に癒乃プロダクション最大の成長株となっています。

このきっかけはYouTubeでもTwitterでもなく、実はTikTok。4月6日頃にまず初投稿動画の一部を投稿、翌日にTikTokで流行っているsyudouさんの可不(花譜さんの声をベースにした合成音声音源)によるオリジナル曲「キュートな彼女」の派生動画を上げ、以降はご本人の歌枠の切り抜きを投稿していき、ゆるやかですがYouTubeやTwitterも伸びていきます。そして10日に上げた「ロマンスの神様」の切り抜きがTikTokで4万人以上(執筆時点)がいいねをする大ブレイク、上記のような結果となりました。

7日間に彼女のTwitterをフォローしたアカウントは夏色まつりさんなどをフォローしているホロライブのリスナーが3割と一番多いものの、その他特別多い傾向は見えず、6割の新規フォロワーはこれまでVTuberはフォローしていませんでした。しいて言えば日本の若者に人気のゲームやアーティストのアカウントが多く、TikTokユーザーの傾向かもしれません。

何がバズるかは運が大きいですが、TikTok向けの工夫(TikTokは短い動画がヒットしやすく、彼女の歌も際立つ10数秒を切り取っています)もあり、また何より神響うたさんの高い歌唱力が評価された結果と言えます。TikTokは客層の違いもあり人気が直接YouTube等に反映するわけではないですが、まだ知名度の低い新人VTuberが自分の武器で注目を得るきっかけとしては有効なのかもしれません。興味深い動きでした。


(TEXT by myrmecoleon

 
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