Oculus Linkベータ版レビュー Rift・SteamVRの両方でスムーズな動作を確認

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Oculus(オキュラス)は11月19日、一体型VRゴーグル「Oculus Quest」をPCで使える仕組み「Oculus Link」のベータ版提供を開始した(関連記事)。実際どの程度の実力なのか、早速ソフトをアップデートして試してみた。

なお検証PCはTSUKUMOのデスクトップで、CPUがCore i5-9600K 3.70GHz、メモリーが16GB、グラフィックがGeForece GTX 2070となっている。


拍子抜けするほどあっさり認識された

Oculus Linkを使うためには、別途、USB 3.0ケーブルが必要になる。Oculus Questの充電に使うUSBケーブルは2.0なので利用できない。今回は、Oculusが動作確認したというアンカーのケーブルを利用した。

Oculus Link特需のせいか、Amazon.co.jpからケーブル長3.0m在庫が消えてしまった「Anker PowerLine USB-C & USB-A 3.0ケーブル」
まずはRift Sのページで「ソフトウェアをダウンロード」をクリックして、Windows側のOculusアプリを最新版のものに更新しよう。
7.34GBダウンロードするので、インターネット回線の状況によっては時間がかかるかもしれない。
インストール完了。
ここでヘッドセットを「Quest」選択。なお、アプリが古いと「Quest」が表示されないので、必ず最新版を使うべし。
USB 3.0ケーブルを本体側面に接続したうえで、Oculus Questをかぶり、コントローラーでバーチャル空間のボタンを押してPC側からのアクセスを許可する。
緑色のチェックアイコンが現れてPC側で認識されるので「次へ」を押す。
これで設定完了だ。
設定でもきちんとQuestが認識されている。

筆者の場合、ガーディアン(移動範囲を決める事前設定)を作成してあった普段Questを使っている環境で使い始めたせいか、これだけで普通に使えるようになった。まったく簡単だ!

ベータ版とのことで、位置トラッキングのズレや描画の遅延などを懸念していたが、試した範囲では気になるところはなかった。例えば、「Quill」や「Medium」といったQuest向けにリリースしていない創作ツールを試してみたところ、Touchコントローラーと操作感が同じこともあってPC版との違いがわからないほど普通に使えた。

ホーム画面も普段のQuestとは違うPC側のもので、扇状に展開されたDashのボタンに触ってPCのデスクトップをVR内に表示する「バーチャルデスクトップ」を起動したり、自分のプライベート空間である「Oculus Home」なども歩き回れた。


SteamVRもルームスケール以外は問題なく動作

さらにSteamVRの対応を確かめるため、Steamアプリを起動していくつかアプリを試してみたところ、こちらも違和感なく使えた。ちなみにSteamVR起動中は、右手のメニューボタンを押すとOculus側のホーム画面が、左手のメニューボタンでSteamVR側のホーム画面が開く。

SteamでSteamVRをインストールしてQuestをつなぎ、Quest側で接続を許可すると使えるようになる。現状ではRift Sっぽいアイコンで認識されている。

ほとんど動かなくて済む系では、懐かしの海の中を体感できるThe Blueをテスト。な、懐かしい……! もちろん問題なく動く。

激しく動く系では、ご存知「Beat Saber」をチョイス。ネットを調べていたところ若干ズレるという声もあったが、ノーマルレベルでは問題なく遊べた(なおレベルを上げるとトラッキングではなく筆者がついていけない)

手の再現性を確かめるために「Job Simulator」を試そうとしたところ、トラッキングに「立位」ではなく「ルームスケール」が必要と求められた。Questを外して設定を済ませたのだが、残念ながらもう一度ルームスケールを設定するように求められて遊べなかった。ソフトによっては、非対応のものもあるのかもしれない。

「ルームスケール」は、SteamVRで歩き回れるようにする設定のこと。
ヘッドセットをPCディスプレーの方向に向けて、画面位置を設定。
続いて床の位置を指定。
さらに可動範囲をコントローラーをなぞって決めるのだが……
Questをひたいにつけながら、前面のカメラでコントローラーを認識させて範囲を書かなければいけず、さらにケーブルが3mと短いため面倒だった。
一応、セットアップはできたはずなのだが、Job Simulatorは遊べず。無念。

おおむねソフト側は拍子抜けするほど普通に使えた印象だ。一方で気になったのはハード面で、ケーブルが左側に垂れることになるので重心の狂いが気になった。またケーブルの硬さや太さなども気になり、通常のPC VRがその辺をきちんと考慮して作られていることを再確認した。この辺、Oculus純正の5m光ファイバーケーブルが出てくれば、大幅に変わってきそうだ。

Questは対応ソフトの少なさが一番の弱点だったが、Oculus Linkの登場でガラッと状況が変わった。結論としては、Oculus Rift Sの立場が危うくなるぐらいに「期待大」で、この冬、VRゴーグルの購入を検討していた人々はぜひ注目しておきたい。

アンカーのケーブルに付属していた結束バンドでそのまま頭の上にケーブルを固定したところ、体感が改善した。

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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