【データで見る、ツイ伸び新人VTuber】2021年3月第2週はヌン・ボラ、幸祜、酒泉りり

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企業・個人を問わず、毎日何十人もの新人がデビューしていくVTuberの世界。一方、すでに業界内には多くの才能が存在しているため、今の「推し」の動画・配信を追うだけで精一杯、新人まで気が回らないというVTuberファンも多いはず。そんな方に向けて送るのが本連載「データで見る、ツイ伸び新人VTuber」です。

分析・執筆は、Twitterのリストから随時2万人以上のVTuberのデータを収集して分析しているmyrmecoleonさんが担当。直近の7日間でTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを数名紹介します。


こんにちは。myrmecoleonと申します。今回も最近勢いのあるVTuberを紹介していきます。以下は直近にTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを並べたグラフです。今回はここから、いずれもフォロワーが10%以上増加したヌン・ボラさん、幸祜(ここ)さん、酒泉(さかいずみ)りりさんの3名をピックアップ。伸びた原因も推測しつつ、プロフィールをまとめました。

VTuberリスト登録のTwitterアカウントから、2021年3月8日13時から15日13時にフォロワー数が5%以上増加したうちのフォロワー数増加上位。データはTwitter APIより取得(以下同じ)。記事で取り上げたアカウントの棒グラフはオレンジ色に変えた。酒泉りりさんのみピックアップのため上位ではないが追加。

ヌン・ボラ

初配信よりスクリーンショット

ヌン・ボラさんはにじさんじの韓国事業「NIJISANJI KR」3期生の見習いバーチャル軍人。2020年8月に初配信。活動はゲーム「Apex Legends」のプレイ配信が中心ですが非常に上手く、全てのレジェンドでのハンマー所持、今月に入ってマスターランクに到達と、VTuberの中でもAPEXのトッププレイヤーのひとりです。ゲームの強さの一方で可愛い声も魅力的で、最近では歌ってみた動画も投稿。また韓国語だけでなく日本語も話せます。

今回の7日間では15%増となる10000名以上が彼女のTwitterで新規フォローしました。同期間にYouTubeでも8000名近くが新規登録しておりこちらも大きく伸びています。

彼女が今回伸びた要因は3月14日に開催された第4回 Crazy Raccoon Cup Apex Legends Powerd by MildomMilldomの本配信アーカイブ)への参加です。Crazy Raccoon Cup(CRカップ)はプロゲーマーチーム「Crazy Racoon」主催のゲーム大会で、2020年からAPEX部門を開始、今回で第4回となりました。プロゲーマーと歌手・漫画家など著名人が一緒にAPEXで競い合うイベントでVTuber中心ではないですが、第1回からVTuberの多数参加しており、以前紹介した「VTuber最協決定戦」と並んでVTuberリスナー注目のAPEX大会の一つです。

ヌン・ボラさんはCRカップ3回目の出場となる今回、Crazy RacoonメンバーのCptさん、にじさんじの瀬戸美夜子さんとともにチーム「雪夜の一番星」としてCRカップに参加。5戦中チャンピオンは無かったものの3戦目以降上位に食い込み続け、最多キルの圧倒的な撃破ポイントで見事優勝しました。

7日間に増加した新規フォロワーの傾向(該当アカウント群から300名超を無作為抽出の上フォローしているアカウントを集計。以下同じ)を見ると、チーム「かなちーくず」としてCRカップに参加していた葛葉さん・さん・勇気ちひろさんのフォロワーが大半を占めました。ほかにじさんじの先輩ライバーのフォロワーが中心で、過去のCRカップでチームメンバーだった西園チグサさん、ラトナ・プティさん(今回もCRカップ参加)のフォロワーも目立ちます。にじさんじ外ではいずれもCRカップ参加のVTuber 渋谷ハルさん(VTuber最協決定戦主催)、Crazy RacoonメンバーのRasさん、ぶいすぽっ!の一ノ瀬うるはさんなどのフォロワーが多かったようです。

にじさんじリスナーの間でCRカップの注目が大きい中、ヌン・ボラさんはにじさんじ所属ながら海外展開で比較的知られていなかったところ、優勝で注目が集まったかたちと思われます。過去のCRカップでも好成績を残していましたが、やはり優勝は大きく、より広い層にも届いたということでしょう。一方で、歌手・漫画家などさまざまな著名人も参加したCRカップでも、彼女の新規フォロワーが(プロゲーマーのファンが若干見える程度で)VTuber関連が中心だったのは興味深いところです。

幸祜

初投稿動画よりスクリーンショット

幸祜さんは「KAMITSUBAKI STUDIO」所属のバーチャルロックシンガー。2020年10月に初投稿。KAMITSUBAKI STUDIOの他のバーチャルシンガーと同様、歌のカバー動画の投稿を中心に活動しており、3本のオリジナル曲も投稿しています。「秘密」というフレーズをよく使い、オリジナル曲投稿時のフレーズは「私の秘密の歌。仮想世界からあなたへ。」。

今回の7日間では14%増となる3300名以上が新規に彼女のTwitterをフォローしました。同期間にYouTubeでも4500名近くが新規登録しておりこちらも伸びています。

この要因としては3月13日にYouTubeで無料配信された花譜さんのワンマンライブ「不可解弐Q2」が挙げられます。このイベントで幸祜さんははじめて3Dの姿で登場、花譜さんや理芽さん、春猿火さん、ヰ世界情緒さんと共演して4曲を熱唱。またこの5人でバーチャルアーティストグループ「V.W.P」を結成し、今後活動していくことを発表しました。

この影響で理芽さん、春猿火さん、ヰ世界情緒さんの3人も上記グラフの通り大きくフォロワー数を増やしています。なお今回理芽さんの方が30%増と増加幅が大きいですが、理芽さんは先月Twitterが凍結、2月末に新規アカウントを作成した背景によるものです。凍結以前のフォロワー数にはまだ戻っておらず、今回のライブ出演で復活に気づいた方も多いかもしれません。

また幸祜さんは翌日にはオリジナル曲「この世界に口づけを」を投稿、あわせて5月にストリーミングカバーライブ「あられライブ」を開催することも発表しています。

7日間の新規フォロワーを見ると、フォローの8割は花譜さんのフォロワーから、関連してヰ世界情緒さんや春猿火さんのフォロワーも見え、ライブ共演の影響が見えます。なお白上フブキさんを筆頭にホロライブのライバーのフォロワーも多く見えましたが、どちらかというと彼女らを経由して花譜さんをフォローした層のようです。最近のKAMITSUBAKI STUDIOのファンの広がりの背景が想像されます。

花譜さん以来魅力的なシンガーを次々輩出するKAMITSUBAKI STUDIO。今回の幸祜さんの伸びのように、花譜さんのワンマンライブシリーズ「不可解」は、彼女らを改めてお披露目する場にもなっています。今回YouTubeで無料配信したことで、そうした効果がより強く出たのではないでしょうか。

酒泉りり

自己紹介動画よりスクリーンショット

酒泉りりさんは2020年9月に初投稿した個人VTuber。キャラクターデザインは草田草太さん。デビュー時から「異世界から漂流してきた飲食店開業系VTuber」を名乗り、飲食店の開業を目標にその過程を動画にしていくという珍しいコンセプトで活動しています。お酒が好きで活動は飲酒雑談が中心。最近は個人VTuberをゲストに呼んでお酒の雑談をする「Vっと乾杯!」をよくされています。またTwitterでの美味しそうな料理やお酒の紹介も主な活動です。

今回の7日間では24%増となる900名以上が新規に彼女のTwitterをフォローしました。この要因としては以下のツイートが挙げられます。念願の飲食店開業がほぼ実現したことを報告したツイートで、そのお祝いをきっかけにこれまで知らなかった人たちまで彼女に注目したようです。

7日間の新規フォロワーを見ると白上フブキさんや犬山たまきさん、月ノ美兎さん、キズナアイさんなどメジャーなVTuberのフォロワーが目立ち、国内のVTuberリスナーが広く浅く関心を持った印象です。加えて1/3ほどの新規フォロワーはこれ以前にVTuberをフォローしておらず、国内のVTuberリスナー以外の層にも広がっている様子です。

バーチャルなVTuberがリアルなお店を持つというコンセプト自体の意外性に加えて、有言実行で実現への報告をしたことがインパクトがあったのかなと思われます。以前に紹介した上戸アペリさんもそうでしたが、お酒というテーマは個人VTuberと相性が良く、またTwitterでVTuberの文脈を越えてバズりやすいところがあるのかもしれません。お店は4月から5月にオープン、オープンに前後してクラウドファンディングも予定、開店したら縁もあるのでいろいろVTuber関連の企画もやっていきたいとの構想も話されており、今後が期待されるところです。


(TEXT by myrmecoleon

 
●関連リンク
ヌン・ボラ(Twitter)
ヌン・ボラ(YouTube)
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酒泉りり(Twitter)
酒泉りり(YouTube)