PC VR「VALVE INDEX」開封の儀&速攻レビュー! VTuber・アバター民注目の五指再現コントローラーがスゴい

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22日に代理店のデジカより国内での発売が発表されたPC向けVRシステムの「VALVE INDEX」(バルブ インデックス)。五本の指の動きをVR内で再現してくれる「VALVE INDEXコントローラー」などが特徴だが、実際の使ってみた感じはどうなのか。細かいスペックはニュース記事を参考にしてもらうとして、一足お先に体験レポートをお届けしよう。


満を持してのVALVE謹製VRシステム

VALVEというと、コンテンツ配信プラットフォーム「Steam」のイメージが強く、VRに関しては「HTC VIVE」や「Oculus Rift」などのハードで使えるソフトを提供しているサービス側の会社と認識している人もいるかもしれない。

しかし、ハードウェアも昨今のVRムーブメント元年と言われる2016年以前から研究してきており、HTC VIVEも「SteamVR」というVALVEの構想に基づいて作られた製品になる(そういやLGの試作機もありましたね……)。

今回、ようやく輸入せずに国内で購入できるようになったVALVE INDEXコントローラーも、「Knuckles」(ナックルズ)のコード名で2016年末の発表から開発を続け、3度のアップデートを経てようやく製品化されたわけだ。

そんなINDEXの立ち位置だが、昨今のVRゴーグル事情を鑑みると若干システムに目新しさがないという声も聞かれそうだ。

というのも、Facebookの「Oculus Rift S」やHTCの「VIVE Cosmos」といった今年発売のPC VRゴーグルは、内蔵カメラで周囲をスキャンしてユーザーの空間に位置をバーチャル側に反映してくれる「インサイドアウト」方式を実現している。対して、INDEXは、VIVEと同じ2台のベースステーションを置く「アウトサイドイン」方式だ。また、「Oculus Quest」のような一体型VRゴーグルと比べると、PCが必要なうえ、ケーブルまでつながなければいけない点は、面倒臭く感じるかもしれない。

ただ、その辺は結局「どこまで求めるか」の問題で、アウトサイドインであるがゆえに「VIVEトラッカー」のような機器を追加して、アバターの動きを生々しくできるというメリットもある。ケーブルがあるがゆえに充電の心配なく、展示会などでずっとデモできるわけだ。「VRChat」や「バーチャルキャスト」などで遊んでいたり、3DのVTuberをやってみたいという人にとっては有力な選択肢に入ってくるだろう。

VIVEトラッカー

頭が小さい女性や子供向けの補助パッドも用意

さて、そんなINDEXだが、後出しがゆえに、既存製品のいいところ&悪いところを研究しつくしてリリースしてきたという印象だ。VRゴーグルでいえば、

・90/120/144Hzでの対応フレームレート
・視野角が最大130度
・5度傾斜がある光学レンズ
・頭の小さい人もずれにくい補助パッド
・耳にくっつかないヘッドセット
・磁石で着脱が容易なフェイスパッド
・前部に拡張領域「Frunk」を用意

……あたりが特徴となる。

外箱は昨今のVR機器に比べると大きな印象。
箱を開けたところ。VRゴーグルとコントローラー、ベースステーションが入っている。「Hello worlds.」の文字が目立つ。
箱の下段には、補助パッドやケーブル類などを収納している。
VRゴーグル側面の様子。頭の固定方法はVIVE Proに似た感じで、頭頂部のベルトで支えつつ、後頭部のダイヤルで締める仕組みだ。
後頭部のクッションには穴が空いており……。
ここに補助パッドをはめる。
過去、後頭部のダイヤルで固定する方式では、女性や子供などで頭のサイズが小さい場合にぐらつきやすくなることもあったが、その問題が解消できそうだ。
VRゴーグル下部。左側が電源ボタン、右側がIPD(瞳孔間距離)の調節スライダー。人間の目と目の距離は人によって違うため、IPDが物理的に調節できると「何かピントが合わない」というもやもやをすぐに解消できる。
ゴーグルの前後方向についても本体右側のこめかみあたりにあるダイヤルで調節可能だ
フェイスパッドは4箇所の磁石で固定されており、あっけないほどすぐに取り外せる。マジックテープ方式のように、戻すときにちょっとずれてしまうということも起こらない。
取り外したフェイスパッド。
装着時、顔に対してレンズの外側が5度傾いており、この機構により過去のVRゴーグルで多かった110度を超える視野角130度を実現した。なお、ディスプレーは1440×1600ドットのRGB液晶が左右となる。
付属のヘッドホンは「ハ」の字状に外側にはね上がらず……
上げ下げするか
または奥側に倒すのが可動範囲となる。
耳が空いているとオーディオの没入感が心配になるかもしれないが、まったくそんなことはなく、しゃべっている声が聞き取りづらくて後ろに倒したこともあるぐらいだった。

コンピューターともハンドサインでやり取りできる!

コントローラーは、同じSteamVRのVIVEコントローラーとは配置が大きく異なり、Oculus Touchの方に近い。既存のVIVEコントローラー向けゲームでINDEXコントローラー対応をうたうものも増えてきているが、遊びにくい場合はキー割り当てを変更するといい。
中央のタッチパッドが親指の接触を判定する部分。手の甲を固定するバンドの根本にあるノブを押し込み、左下に4つある点に沿って位置を変えることで、サイズの異なる手でも使いやすいように調節できる。
人差し指はトリガー、中指/薬指/小指は握る部分にそれぞれ接触判定がある。
根本のボタンを押してゴムを引っ張ることで、手の甲と手のひらでコントローラーを固定。
「パー」の状態にしても落ちないようになっている。

実際の体験をひとことで表すと、VIVE Pro+Oculus Touchコントローラー+5指の表現といった具合。すなわち画質に関してはハイエンドで、操作に関しても過去のVRコントローラーの延長上にあるため違和感を感じず、そこにハンドサインの表現力を加えたという印象だった。

デモソフトとしては、INDEXをセットアップしてから最初に触れることになるチュートリアルを体験。VIVEのチュートリアルと同様、VALVE謹製なアクションパズル「Portal」に出てくるロボが現れて、コントローラーの使い方を教えてくれる。

一番の違いを感じたのは、握るという感覚だ。Oculus TouchやVIVEコントローラーでは、人差し指のトリガーを引くことでバーチャル内の物を拾っていたところ、INDEXコントローラーでは五本の指で自然とつかむことができた。

もちろん結果としてつかむという行為は変わらないものの、例えば、ロボットから差し出される手と握手したり、それを引っ張ってちぎったりするシーンがよりリアルに感じられた。
より違いがわかりやすかったのが、VIVEやOculusでも体験したことがある「Job Simulator」で、その辺にある物を掴める(そして投げられる)感覚が新鮮だった。

さらにパーやピースといったハンドサインの実現だ。途中、Portalロボとじゃんけんするシーンがあるのだが、きちんと相手が認識してくれて、ゲームが成立しているのが面白い(どうでもいい話ですが、操作を焦って後出ししたにも関わらずロボに負けました。ぐぬぬ)。

アイトラッキングのような目だけでなく「手」も口ほどにものをいうわけで、ハンドサインについては、親指を上げて「いいね」を表したり、中指を……と相手を煽ったりと、コンピューターに対しても人間に対しても既存のコントローラーでは難しいコミュニケーションを実現してくれる。これは素直にVRの可能性を広げてくれそうだと実感した。

VTuberやVRChatなどでアバターとして活動している人にとっても、手の表現力は大きな武器になってくれるだろう。

現状で五指を再現しようとすると、NoitomのVRグローブ「Hi5」あたりが有力な選択肢となるが、価格が15万円ぐらいからと個人には少しハードルが高い。INDEXコントローラーが4万円以内でここまでの表現力が得られるなら十分すぎるだろう。バ美肉DJとしても知られるDJ SHARPNELさんがINDEXコントローラーをすでに輸入してDJに使っていた。細かい指の操作が見せられるのは、人型アバターの魅力を底上げしてくれるだろう。

若干気になったのが、親指、人差し指のように、中指/薬指/小指の場所が独立しているではないので初体験では場所の感覚がつかみにくかったが、この辺はバンドの位置を変えたりして操作しやすいポジションを探ると変わってきそうだ。

ざっとレビューしてきたが、既存のVIVEを持っている人は、一部のPC専門店でデモも始まるとのことなので、まずINDEXコントローラーだけでも試してみよう。

なお購入前には、自分のPCが動作可能かどうか調べる「Valve INDEX システム要件判定ツール」と、どれくらい快適に遊べるかまで判定してくれる「SteamVR Performance Test」という2つの無料ツールがあるため、ぜひ事前に実行しておくべし。

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
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