【データで見る、ツイ伸び新人VTuber】2021年12月第2週は博衣こより、Monarch、Oumiya Emma

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企業・個人を問わず、毎日何十人もの新人がデビューしていくVTuberの世界。一方、すでに業界内には多くの才能が存在しているため、今の「推し」の動画・配信を追うだけで精一杯、新人まで気が回らないというVTuberファンも多いはず。そんな方に向けて送るのが本連載「データで見る、ツイ伸び新人VTuber」です。

分析・執筆は、Twitterのリストから随時3万人以上のVTuberのデータを収集して分析しているmyrmecoleonさんが担当。直近の7日間でTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを数名紹介します。


こんにちは。myrmecoleonと申します。今回も最近勢いのあるVTuberを紹介していきます。以下は直近にTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを並べたグラフです。過去に連載で取り上げた沙花叉クロヱさん、ラプラス・ダークネスさん、Mika Melatikaさんも引き続き伸びており掲載されています。今回はここから博衣(はくい)こよりさん、Monarchさん、Oumiya Emmaさんの3名をピックアップ。伸びた原因も推測しつつ、プロフィールをまとめました。

VTuberリスト登録のTwitterアカウントから、2021年12月6日13時から13日13時にフォロワー数が5%以上増加したうちの増加数上位
データはTwitter APIより取得(以下同じ)。記事で取り上げたアカウントの棒グラフはオレンジ色に変えている

博衣こより

初配信よりスクリーンショット

博衣こよりさんはホロライブ6期生・秘密結社holoX博士を務めるコヨーテ前回紹介した沙花叉クロヱさんの同期です。11月26日より活動開始したホロライブ6期生5名はいずれも秘密結社holoXに所属するメンバーで、博衣こよりさんはその3人目として11月28日に初配信しました。衣装等のデザインはNIJISANJI ENのPetra Gurinさんも担当しているイラストレーターのももこさん。

博衣こよりさんは自称「holoXの頭脳」。初配信ではパズル企画にしっかりとした自己紹介にタグ決めとたっぷりの内容を1時間きっちりに納め、直後に歌ってみた動画をプレミア公開お手本のような初配信を披露。特技は滑舌に数字と謎解き。配信は歌にASMRにゲームと幅広くこなし、何ごとも元気に「実験」と称してチャレンジしていく努力家で、朝は苦手と言いつつ定期に「朝こよRaido」もしています。企画などをやっていきたいとのことで、初配信で早速6期生に求めることのアンケートを募集して配信で報告しました。

ポンコツ揃いと言われるholoXでは比較的しっかりした博衣こよりさんですが、本人も自己紹介するほど運がなく初のASMR配信では途中で機材トラブルに見舞われ、またマヨネーズASMRの実験で自ら笑い続けてしまうなどポンコツみもあり親しまれています。同期とのコラボも多く、先日のラプラス・ダークネスさんに生でASMRを聞かせるコラボは話題になりました。

この博衣こよりさん、Twitte活動開始10分でTwitterアカウントが凍結とやはり不運。初配信時もそのままで、12月8日の夕方にやっと復活しました。今回の7日間では36%増となる7万5200人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネルも3万2000人近くが登録しました。伸びたのはホロライブ6期生の人気もありますが、Twitter凍結・解除により時間差でフォローされた関係と思われます。

フォロワーの傾向(該当アカウント群から300名超を無作為抽出の上フォローしているアカウントを集計。以下同じ)を見ると白上フブキさんを筆頭にホロライブのメンバーが約9割。特に沙花叉クロヱさんら同期を経由したフォロワーが目立ち、同期の間でのフォロワーが拡大している様子がうかがえます。

今回のピックアップはTwitter凍結という不憫な出来事ゆえではありますが、ホロライブ6期生の順調な成長の様子が見えます。特に博衣こよりさんはコラボ企画などにやる気があり、今後が活動が楽しみです。

Monarch

初配信よりスクリーンショット

Monarchさんは”The Multiverse Monarch”、つまり多元宇宙の君主を称する強大な悪の女王AmaLeeの名前で知られる歌手でもあり、2300万再生された「Crossing Field」などアニメソングを英訳したカバーをYouTubeに多数投稿して人気があり、チャンネル登録数は180万人を超えています。声優としても活動し、アニメ「かぐや様は告らせたい」早坂愛役など多数のアニメの吹き替えや海外ゲームのキャラクターなどを担当しました。

12月12日にtwitchで初配信を行い、これまでAmaLeeさんの動画やアルバム等に描かれてきたアニメ作品などを模した女性キャラクターは彼女の分身であり、今回はそのオリジンとして姿を現したことを説明しました。配信の別の箇所ではMonarchとAmaLeeの関係をビヨンセがステージ上での別人格を呼んだ「Sasha Fierce」にも喩えています。 Monarchさんはヒーローと善が嫌いで、人間の魂や涙を好み、また音楽とワインとゲームも好きとのこと。蝶の羽をモチーフにしたマントや靴など彼女のビジュアルは、イラストレーターで最近中国人気が高いHiiroさんなども手がけてるLucidSkyさんが担当しています。

Amaleeさんが来年1月に発売するアルバム「Rise of the Monarch」はこのMonarchさんをモチーフとしたオリジナル曲8曲が収録されており、配信ではアルバムの紹介とこれらの冒頭が流されました。うち1曲にはホロライブEnglishのMori Calliopeさんも参加しています。海外ファンがよく女性VTuberに求める「あらあら」が印象的に組み込まれた楽曲など、VTuber文化も意識されたアルバムです。

海外アニメファンに著名な人物のVTuberデビューとあって大きく話題となり、Twitter活動開始を含む今回の7日間で1万5000人以上が彼女をTwitterでフォローしています。彼女のフォロワーを見ると6割がMori Calliopeさんを筆頭にホロライブEnglishのメンバーのフォロワー。ironmouseさんを筆頭にVShojoのメンバーのフォロワーも目立ちました。またやはりこれらと重なってAmaLeeさんのこれまでのフォロワーも6割を占めます。AmaLeeさんとVTuberのファン層はだいぶ近くなっており、Mori Calliopeさんの参加もあり、双方のファンが関心を持った様子がうかがえます。

オリジナルアルバムの展開の一環としてのVTuberデビューのようですが、デビュー以降もほぼ毎日twitchでゲーム配信を行っていて活発です。海外では著名人のVTuber化も珍しくなくなってきましたが、海外アニメファンとの関わりが深くVTuberシーンとのつながりもあり、今後の活躍が期待されます。

Oumiya Emma

初配信よりスクリーンショット

Oumiya Emmaさんはバーチャルエンターテイメント企業「CyberLive」のGeneration 2(2期生)。架空のゲーム「ALTERIA」のラストダンジョンのボス。 「CyberLive」はアメリカ合衆国のバーチャルエンターテイメント企業で、英語圏のVTuber視聴者をおもなターゲットとしており、今年7月にAmaris YuriさんらGeneration 1(1期生) がデビューしました。 Oumiya Emmaさんを含むGeneration 2の5名は「CyberAlter」と呼ばれ、彼女以外も呪いの人形やコンピュータウイルスなどヴィラン風のメンバーが揃っています。それぞれ12月10日から11日にかけて初配信し、 Oumiya Emmaさんも11日(現地。日本時間12日)に初配信しています。彼女のビジュアルを描いたのはプロプロダクションの恋乃夜まいさんやぶいすぽっ!の八雲べにさんも手掛けたMAIROさん。

ゲーム上ではかつて天使だったが追放されてダンジョンの奥深くに鎖でつながれたとされるOumiya Emmaですが、実は彼女はゲームのOumiya Emmaそのものでなく元は人間 。彼女はこのゲームをクリアした直後に車にひかれて異世界転生し、いつの間にかゲームの中のOumiya Emmaになっていたとのこと。それからゲームの中で何千年もプレイヤーとの戦いを待ち、退屈してたくさんの人と戦うためにPCを買ってVTuberになりました。彼女の配信ではチャットで視聴者が小さなゲームキャラになって戦える独特の仕組みも用意されています。

彼女の配信は主に英語ですが、日本語とインドネシア語・マレーシア語も話せます。ゲームキャラですがRPGやFPSなどゲーム全般が好きで、初配信ではゲーム「NieR:Automata」の「壊レタ世界ノ歌」で歌声を披露。ゲームや歌だけでなくASMR配信も行い、初のASMR配信ではバイノーラルによるゲーム風の世界観でのロールプレイ企画をしました。日本のアニメも好きで、オリジナル曲や3D化と並んで自分のグッズとして抱き枕を出すこと、そして世界征服を目標のひとつに挙げています。

初配信を含む今回の7日間では55%増となる2100人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネル登録数は現在8500人を越えました。同期5名の中ではいずれも一番の伸びです。7日間の新規フォロワーを見るとMori Calliopeさんを筆頭にホロライブEnglishのメンバーのフォロワーが8割と多く、ほかVShojoやホロライブインドネシアのメンバー、英語圏の個人VTuberなどのフォロワーも見られました。一方でCyberLiveの先輩経由のフォロワーはこの期間あまり見られず、Oumiya EmmaさんのデビューがCyberLiveの視聴者を拡大している様子がうかがえます。

今回はたまたまですが、秘密結社holoX、悪の女王、ゲームのラスボスとヴィラン系の新人VTuberが目立ちました。特に海外などで、こうしたモチーフも人気があるのかなと思います。英語圏でのVTuberデビューも今回紹介したように活発に行われており、海外のVTuberファンからも注目されているようです。


(TEXT by myrmecoleon

 
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